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君の好きな花

 老後、またすっごいテーマだよね

残念ながら
「はぁ?老後とかうち全然関係ないしー」って
自分のつけまつげが綺麗にカールしてるか
デコった手鏡を見続けられる
年齢じゃないことくらいには気付いてる

だからテーマが決まってから
自分の老後ってどんなんかなーって考えていたときに
なんとなくタイムリーなのか
昨日敬愛する伯父が亡くなった

私の老後からは少し離れるけれど
少し伯父の話に付き合ってもらいたい

本当に豪傑というのがふさわしい
いつ会っても私にとって
かっこいい伯父だった

高校時代はツッパルことが男の勲章よろしくの番長で
社会人になってからも親分気質は変わらなくて
悪さをして叱られた時には
きっと閻魔大王ってこんな感じなんだろうなって
子供ながらに思ってた

そんなに口数の多い人ではないけれど
いつも見せてくれる父に似てるようでどこか違うその笑顔に
子供ながらに癒されたっけ

伯父には娘しかいなかったから
一族で一番長男の私のことを
いつも可愛がってくれたっけ

私がたくさんおこした
不義理や時に道理に外れたことも
「004がいま元気ならそれでいいだろ」って
久方ぶりの再会で私の不安を一蹴してくれたっけ

お酒がとにかく大好きで
ほぼ休日はいつも酔っていたよね
晩年は私も同じワイン好きということもあって
「おい、004、グラス持て。この赤ワインうまいぞ。」
って深酒コースで一緒にグラス交わしたのが
私とあなたの最後の杯になっちゃったね

きっと私
あなたの晩年から
自分のこれからのこと
良くも悪くも
学んだとおもう

一つだけ言えるのは
あなたが亡くなったと聞いたそのときに
私が思い描いたあなたの顔は
はにかんだ笑顔だった

だから私も
私が亡くなったことがみんなに伝わったときに
みんなの中で笑顔であるような
そんな老後を過ごしていきたい


君の好きな歌 歌おうか
まあるい笑顔が みたいから
ぼくの好きな歌 君の歌
遠い町まで 届くかな

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