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大洗フェリーターミナルに残る痕跡【前編】

記事1本目は乗船記でも書こうかと思ったのですが、記憶のあるうちにまとめておきたいことがあったのでこちらから。

茨城県は大洗町にある大洗フェリーターミナル。現在は「さんふらわあ」の名で知られる商船三井フェリーが発着していますが、かつてはもう一社発着する船会社がありました。

東日本フェリーです。

東日本フェリーについてはそれだけで本当に記事が数本分になってしまうので詳しく触れませんが(技量の問題で触れられないともいう)、北海道を中心にカーフェリーを複数航路運航していた船会社で、現存しません。ここ大洗には、2006年末まで運航していました。

レインボーラインの塗装で、船体側面に大きくイルカのマスコットキャラクターが描かれているフェリーといえば分かる方もいるのではないでしょうか。

参考:東日本フェリーの事業を継承した津軽海峡フェリーの船。イルカのマスコットが描かれている。

さて、大洗フェリーターミナルの中でも主に旅客が使用するターミナルビルは、東日本フェリーが撤退したのが比較的近年ということもありその当時の建物を現在も使用しています。つまり、建物に東日本フェリーの痕跡があるのではないかと睨んでいました。時をほぼ同じくして、たまたま北海道に行く機会がありましたのでこの機会に簡単な現地調査を行いました。

この記事はその報告です。

現地調査

フェリーよりもガルパンの方が有名かも

2023年2月13日。
この時同行していたK氏といつもお世話になっているA氏に頼み込み、乗船前に30分ほど時間をもらって調査しました。

事前にネットで2006年以前のターミナルの姿を調べておき、その情報と現在の差異を比較する形で調査を行いました。また、乗船前の限られた時間で調査をしたので、見落としがある可能性があります。もしこの記事で記載されていること以外にご存じの方がいれば、ご一報くださると幸いです。
書いてるそばから新しい痕跡らしいものを見つけて頭を抱えている

まず、ターミナルに入る前に入口近くの看板に注目。

至って普通の乗船者向けの看板ですが、右下に妙な空白がありますね…?

浮き出ている

この部分を拡大したのがこちらの写真。「東日本フェリー(株)」と読めます。
つまりこの看板は2006年以前に設置されたもので、以前は商船三井フェリーと東日本フェリーの連名で掲出されたものだったのですね。

余談ですが、商船三井フェリーはかつて2001年までブルーハイウェイラインという会社が運航していました。この看板では、「商船三井フェリー」に消された跡は見受けられません。つまり、この看板は商船三井フェリー発足の2001年から東日本フェリー大洗撤退の2006年までの間に立てられたものと推測できます。こういった点からも年代を推測できるのも面白いですね。


話を元に戻しましょう。

ファンネルに注目


一見何の変哲もない案内看板ですが、描かれている船舶に注目。この船は、現行の就航船舶ではなく既に引退した船舶で、「さんふらわあ さっぽろ」と呼ばれていた船です。しかし、この船が産声を上げた時名付けられたのは違う名前でした。

その名も、「ばるな」です。

ばるなは、東日本フェリーの船として生まれ、当初は日本海航路に就航しましたが、いろいろ(本当にいろいろ)あって太平洋を走る大洗航路に移ります。その後、商船三井フェリーに用船され、2005年1月の入渠に合わせて「さんふらわあ さっぽろ」に改名されました。ファンネル上部に突き出た配管が特徴的な美しいシルエットです。乗ってみたかった。

続けましょう。

フェリーターミナルビル窓口横にガラス張りになっている部分があります。現在は、就航している商船三井フェリーのロゴが表示されていますが、近寄ってみると…

"井"と"フ"の間に、何か浮いていますね。

Twitter上でしか見つけられなかったのですが、どうやらこのガラスにはかつて商船三井フェリーに加え、東日本フェリーのロゴも掲出されていたようです。カッティングシートのようなもので貼ってあった跡が若干見られます。他の文字も探してみたのですが、残念ながらこの時は鮮明に見られませんでした。

参考までに、先ほどの写真に着色したものを。

突貫工事で作りました。雑ですみません。


おまけ。

東日本フェリー撤退後、商船三井フェリーもロゴを新調したようです。
旗をモチーフにした旧ロゴの跡も確認できました。

超わかりやすい

着色するまでもなく鮮明ですね。

但し、これがいつ頃新調されたものなのかは今のところ分かっていません。2006年の東日本フェリー撤退後なのは間違いないと思われますが…。


本当は記事一本にまとめるつもりだったのですが、想像以上に書けてしまい長くなったので前後で分けます。これだから東日本フェリーは恐ろしい。後編もなるだけ早く出せるようにしたいと思います。正直後編の方が長くなりそうな気がする

つづく

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