TES vs JDGの感想(LPL 2020 Spring W4D3)

はじめに

 今回の試合は上位に食い込めるか否かの大事な1戦。対戦相手のJDGはここまで5勝2敗と好調を維持。メンバーも元GriffinのKanaviを始め、元TESのLokeNや、長らくJDGの屋台骨を支えてきたベテラン達と中々のメンツ。しばらく前線から退いていたZoomの帰還が報告されていますが、今回の試合はサブの705を起用。
 TESにとっては負けられない戦いですが、皆さんご安心ください。先に結論を申し上げますと、今回の試合Knightが活躍します。そして見どころ盛りだくさんです。早速見ていきましょう。なお、本記事は下記の動画を参考に作成されています。

1戦目

 注目のBAN/Pickはこちらです。

無題

PhoticのApheliosが育つことが非常に重要な構成

 今回のBAN/Pickからは両チームのコーチのバチバチ感がすごく伝わってくる熱い展開に。JDGはKnightを警戒しつつもSettかApheliosのどちらかは絶対取るよの構え。その選択肢の中でTESはApheliosをPick、JDGはSettとレーニングで優位に立つためのEzreal、Yuumiのbot duo。369は最近調子の良いAatroxをPick。
 さてここからがTESは悩みどころです。Yuumiを取られている以上Olafはできれば渡したくないチャンピオン。ですがSettとRumble、もしくはJ4のコンビもできれば組ませたくない。
 悩んだ末出した結論が上記の画像の通りです。やはり重要になってくるのはPhoticのApheliosになってきますが果たしてどうなるでしょうか。試合の方見ていきましょう。

無題2

動画の0:24~。ドラゴンとファーストブラッドの交換。どっちがお得?

 結論を申し上げますと、ファーストブラッドを献上してでもドラゴンを取ったほうが強いです。理由は後ほど。

無題3

動画の1:48~。Viktorの逃げ性能は意外と高い

 ViktorはQによるMS上昇で意外と逃げ性能が高いので、フラッシュさえ上がっていればこういった状況でも逃げおおせる事が可能です。
 そしてピンチはチャンス。Knightがチャンスを作ったおかげで一挙3キル獲得。ここで重要なのが、下記の画像のように、いち早く状況を察知してSupportが寄って来れるかが、チャンスを物にできるチームの必須条件です。

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動画の2:06~。Supportの寄りの速さ本当に大事。

 さて試合は中盤戦、今いち育ちきれていないApheliosを他所に、バッチリ育っているKnightがいる下記の集団戦、本来であれば勝てるはずでした。しかしそこはJDG、簡単には試合の流れは渡しません。

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動画の2:40~。一見無茶な飛び込みに見えますがSettならお手の物

 この集団戦でJDGがSettを取ってやりたかった事を全て出しきってきました。ウルトを使った後、素早くKnightに向かってフラッシュからのCCで固め、Taliyahの攻撃に繋げるwombo comboを決められてしまいます。ここで一気に差を広げるつもりだったTESからすれば予想外の痛手です。

無題6

動画の3:48~。やられる前にやるのが正解。

 ここはTESが上手く仕掛けました。Settがチームから離れているタイミングで素早くフォーカスし、Settを孤立させることに成功しました。如何に強力なイニシエート手段を持とうとも、上記のように前から1人ずつ殴って倒していけばいいという状況に持ち込めれば、集団戦での勝利は目前です。
 この集団戦で4キル獲得したTESは資金差をひっくり返し、バロンまで獲得と大勝利を収めます。

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動画の6:47~。ドラゴンはファーストブラッドより重い。

 これがファーストブラッドを献上してでもドラゴンを取ったほうが強い理由です。もし序盤でドラゴンを取りに行かず、Topのカバーをしに行っていたら、ファーストブラッドは免れたかもしれませんが、この状況を作り出すことは出来ませんでした。
 では順を追って解説致しましょう。上記の画像を見ていただくと、JDGはTrundleに邪魔をされてチームが縦に間延びする非常にまずい状態に陥っています。にもかかわらずドラゴンに無理やり向かってきました。なぜなのでしょうか?それはTESがドラゴンを取ることでドラゴンソウルを得ることができる状況にあるからです。
 ダイブしてキルを取るためや、タワーとの有利交換をする為にドラゴンを相手に明け渡すのはよく取られる戦法です。ですが、相手がドラゴンを3体倒してしまった状態で次のドラゴンがリスポーンすると、強制的にドラゴン付近で集団戦をしなければいけない状況に陥ります。
 中にはドラゴンソウルを与えてでも負けるしか無い集団戦は避けるべきだと言う人もいるかと思います。しかしこれは私達が普段遊んでいるサモナーズリフトではなく、手加減一切なしのプロの試合。ドラゴンソウルを明け渡すような状況に陥っているのであれば間違いなくその試合は敗北です。

 以上の理由から、TES有利で始まったこの集団戦。この試合ここまでいいところなしだったApheliosがついにやってくれました。

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動画の7:30~。欲しかったペンタキル

 TESのADCがPhoticに変わってからの今シーズン、中々良いプレイを出すことが出来ず、外野から心無い言葉も飛び交う中、ようやく掴んだペンタキル。これでPhoticに自信が付けば非常に良いと思います。長いシーズンを戦う上でいい流れっていうのはとても大事ですからね。ペンタキルを決めて試合に勝ったのであればなおさらです。

2戦目

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個人的にはPantheon midは今いち信用しきれてないところがあります

 注目はKanaviのEkko Jungle。去年のWCSでも強い強いと言われつつもあまりPickされることはなく、いざPickされても活躍できないままチームが敗北する等、ポテンシャルはあれど勝利には結びつかなかったチャンピオンと言うイメージ。どんな使い方を見せてくれるのでしょうか。

無題10

動画の9:00~。とんでもないバーストダメージ。

 序盤の試合展開は、Knightにキルこそ集まれどCSで差をつけられ、KarsaはファームよりもオブジェクトやGankを優先したため育ちが遅れる中、Ekkoにレーンを荒らされる展開に。
 その代わり今回はbotのファームが好調で、MFが育ち切る前にVarusのコアビルドを完成させたいといった所。
 そんな中、ゲームが大きく動いたのは下記の集団戦でした。

無題11

動画の11:48~。グループアップの速さはチームが好調な証

 この集団戦の開始時点こそ3vs5という不利な状況から始まりましたが、素早いグループアップが功を成し、JDGを上下から挟み込み分断させることに成功。こういったフォーカスがバラけるような集団戦が起きるとMordekaiserのウルトが強いですね。敵の懐に飛び込んでも強制的に1vs1の状況が作れるので、厄介なチャンピオンを封じ込めるにはもってこいです。
 バロンまで獲得し、ここまでEkkoに荒らされて差をつけられていたゴールド差は帳消しに。

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動画の14:50~。クラウドソウルを持ったPantheonからは逃げられない

 この試合を決めた最後の集団戦。順調にドラゴンを取り、ドラゴンソウルを獲得したTES。クラウドソウルの効果は、MS10%アップだけでなく、ウルト使用後に3秒間さらにMSが30%上昇します。
 League of LegendsというゲームにおいてMSが上昇することによる恩威はとんでもなく大きいです。
 かつてJannaがリメイクされる前のパッシブは味方全体のMSを上昇させるものだったのですが、どんなにNarfされようともこのパッシブに変更が無い限りJannaはPickされ続けるだろうと、かの有名なプロゲーマーが発言したこともあります。それほどまでにMSが上昇するということは多大なるアドバンテージをもたらします。

さいごに

 終わってみればPantheon midで7/1/8の大活躍。これは認識を改める必要がありそうです。
 総評としては、Knightがきっちりとキャリー仕切ったことや、Photicのペンタキル等、JDG相手に大きな成果を残せた試合だったと思います。
 TESが好調な理由としては、もちろんチームのキャリー陣が頑張ってるのもあるのですが、QiuQiuが良い動きを見せているからだと思います。やっぱりSupportが好調なチームは強いですね。
 今回の試合、全てを紹介しきれなかったのですが、最初から最後まで全部面白いので、ぜひ全て見てみることをおすすめします。
 ここまで読んでいただきありがとう御座いました。
 

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