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『FACT FULNESS』を読んでみた

ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング(ハンスの息子)、アンナ・ロスリング(オーラの妻)著 上杉周作、関美和 訳

本著の冒頭、世界の事実に関する13のクイズがある。2017年にオンラインで1万2000人に実施したところ、全問正解はゼロ。全問不正解が15%もいたそうだ。国際ジャーナリストや専門家や高学歴の人を対象にしても結果はほぼ同じだそうだ。

マクロ的視点で世界の事実を正確に捉えられている人はほぼいないというのが本著の主張だ。

本著では世界の所得レベルを4つに分けている。レベル1から4まで順に所得が高くなる。

https://www.businessinsider.jp/post-165209

日本はレベル4にあたるが、スウェーデンもレベル4で、日本よりも所得が高いという事実は私は意外であった。この時点で私の思い込みが1つ見つかった。

「昔は良かった」というのはやっかいなセリフだ。世界の気候問題で考えると産業革命以前と現代の比較ならば、「昔」の方が自然環境としては良いのは事実だろう。

しかし、ここで言う「昔」はせいぜい20~60年ぐらい前の事を指し示している。そのスパンで言えば、「昔」の方が良いという事例は少ないのではないか。

世界には解決しなければならない問題は山積みだ。先日の気候サミットでもスウェーデンの16歳グレタさんが怒りのスピーチをしたように。

https://www.buzzfeed.com/jp/rikakotakahashi/greta-thunberg-un-speech-trump-glare-1?fbclid=IwAR27_tC7WxrkOVbEl5-epWxgSE_dIVebiDbfe69kDR-VaUL2o-14aY-k5A0

グレタさんのスピーチは正論で間違ってはいないが、気になるのは、「大人」と「わたしたち(こども)」の二項対立で語っていることだ。

FACT FULNESSでも「わたしたち(西欧諸国)」と「あの人たち(アフリカ・アジア諸国)」でスウェーデンの大学生が語る場面がある。

「わたしたち」と「あの人たち」が同じ土俵に立つことはあり得ないという深層心理あるいは思い込みがある。

グレタさんのスピーチで懸念されるのは、彼女の主張を表面的に捉えて、大人(悪)が引き起こした問題は大人の責任で解決すべきという問題丸投げ意識に「今こども」の人たちがならないかということだ。

「今こども」でもいずれ大人の側に立つという認識を「今大人」の人達が伝えるべきである。

日本はどうだろう。先日の参院選の投票率の低さが話題になった。自分の1票は体制に影響を与えないだろうから、あなた達が勝手にやってよ的な発想である。

世界は複雑で常に変化し続けているという認識があるかないかで、我々の行動のベクトルに大きな違いを生むだろう。

FACT FULNESSの締めくくりに「自分は本能に支配されていた」と過ちを認められる空気をつくる事が重要だと説いています。

「自分は事実を見る準備ができているのか?」これを意識できる人が世の中にたくさん生まれたら、この世界は誰もが生きやすくなるのかもしれない。

今日からできるのは、とにかく冷静に目の前の事にあたることかな。