韓国経済の数字感

昨今、お隣の韓国との間で何かとネガティブなニュースが続いていますね。

といっても今回、対立や紛争について是非の価値判断や正義が有る無いを論じるつもりは一切ありません。

報道などを見ていると、日本と韓国の経済力や国力の比較感について思っている前提がずれているように感じる論評などがままあることから、統計データを淡々と並べてみます。

具体的には日本サイドの中高年世代で韓国経済の規模や国際的な立ち位置をみくびっているフシがあるので「思ってたよりもけっこう大きい」となるのではないかというものです。

というのも自分も中高年サイドと言われても反論し難い年代に入ってきているところですが、人はものごころついた頃の世界観をひっぱりがちなところ、ほんの30年くらい前までは日本と韓国とでは比較にも何にもならない程の経済力、国力の格差がありました。ところが、今はそうでもないので昔の感覚でいると情勢を読み間違えるかもしれない。というのが趣旨になります。


1.自国通貨建名目GDPの推移(2017年まで)

○日本

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○韓国

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日本は円建て、韓国はウォン建てのGDPの推移です。日本が約30年間、一言で微増だった状況のところ、韓国では右肩上がりに成長しています。


2.米ドル建て名目GDPの推移(2017年まで)

○ 日本

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○ 韓国

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円とウォンでは比較しづらいのでそれぞれ米ドルに換算したGDP推移を確認します。

為替はメジャーの通貨間でも年率10%や20%動くこともあるので対米ドル為替レートの変動を大きく受けています。

2017年の米ドル建てGDPは、日本4.87兆ドル、韓国1.53兆ドルと公表されています。

米ドル建ての比較では、50年前には100倍以上の開きがあったところ、30年前にはおおよそ10倍に、直近では約3倍程度となっています。


3.GDP産業構造

○ 日本

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○ 韓国

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○ 米国(参考)

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農林水産業の割合が小さいのは日本韓国ともに共通しています。

韓国では製造業の割合が高く、一方で日本はその他サービス業の割合が比較的高くなっています。

サムスン、LGなど、半導体産業における世界的企業の隆盛が象徴的でしょうか。

その他サービス業は個別に掲記されているいずれにも属さないサービス業になりますが、重要なものとしてはIT産業、金融業、医療・福祉業などがあるでしょう。参考に米国の内訳を示しましたが、いわゆるGAFAは、Amazonの事業の一部が商業や倉庫業に区分されるほかはその他サービス業でしょう。


4.人工と一人あたりGDP(米ドル建て名目)

○ 日本

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○ 韓国

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人口に関しては日本がほぼ横ばいといえる水準で推移してきたのに対して韓国は経済成長とともに増加しします。ただし最近では韓国の出生率は日本よりかなり低く世界最低水準となっていて(日本1.:43、韓国0.98)、将来の人口減少は韓国の方が急激に進むと言われています。


一人あたりGDPの推移は、日本が30年ほど停滞していたのに比べて韓国は基本的に成長を続けてきたという傾向は変わらず、2017年では日本3万8千ドルに対して3万ドルとなっています。

こうしてみると、人口差はあるものの、一人あたりGDPは少し日本の方が大きいがそれほど違うというわけでもなく、両国とも経済的には得手不得手はあるものの世界に貢献している立派な大国だと言えるのではないでしょうか。


繰り返しますが最近の国同士の摩擦や紛争に関しては一切の価値判断はしません。



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