参考図表_2019年第1四半期の資金循環_速報__page-0001

MMT(現代貨幣理論)入門

世間で話題のMMT(Modern Monetary Theory/現代貨幣理論)について私もインターネット上で多少読みました。5~6人の書かれた記事をシリーズものを1つ1つとして数えると30記事でしょうか。また、矢野和男のNOTEも非常に参考になり、興味深いものでした。


いろいろ読んだ結果として、最初の入り口としては、高橋聡さんのブログ記事

「MMT(現代貨幣理論)とは?世界一わかりやすく解説【MMT初心者向け】」

が最もおすすめできるのではないかと考えましたので紹介します。

高橋さんはサイト制作・ブログSEOなどをしつつ、本業はゲイ産業をしているということで、専門家ではありませんが、その分、初学者の勘どころを押さえている。と思わせる丁寧なわかりやすい解説で、しかし「初心者向け記事」にありがちな、説明の簡略化のしすぎのようなことはなく、しっかり理解できるものと思います。



以上です。ご興味のある方はご覧ください。
でも悪くはないのですが、もうちょっとどうにかならないものかとも思うので、一人の会計人としてMMTの基本を仕訳形式で表現してみます。


信用貨幣論=貨幣負債論

MMTでは貨幣=負債と定義します。借金をするのは「なにかに使うから」ですよね? 借金をして何もせずに、返済するような奇特な人はあまりいないはずです。

◆ M銀行は日本銀行の当座預金から100の紙幣を引き出した
(M銀行の仕訳)
現金 100 / 日銀当座預金 100
(日銀の仕訳)
当座預金(M銀行口座)100 / 発行銀行券(日銀券) 100

◆ 甲さんのN銀行の預金口座にA株式会社のM銀行の預金口座から給与5が振込まれた
(甲さんの仕訳)
預金(N銀行) 5 / 給与収入 5
(A株式会社の仕訳)
給与 5 / 預金(M銀行)5
(N銀行の仕訳)
日銀当座預金 5 / 預金(甲さん口座)5
(M銀行の仕訳)
預金(A株式会社口座)5 / 日銀当座預金 5
(日銀の仕訳)
当座預金(M銀行口座)5 / 当座預金(N銀行口座)

いずれも、資産側の貨幣の増減は、銀行の負債の増減と対応していることがわかります。

内生的貨幣供給論

内生的貨幣供給論とは、信用創造が起こるという前提の理論です。先程も書いたように、「需要に応じて、銀行が信用創造を行う(貨幣を供給する)」というのが、内生的貨幣供給論の概説になります。
 オンデマンドサイド(需要側)理論ともいわれます。
 貨幣=負債であるなら、資金需要がないと貨幣は想像されない、とも表現できます。

内生的貨幣供給論の典型的な局面を仕訳で示すと

◆ M銀行はA株式会社に100の融資を実行した
(M銀行の仕訳)
貸付金(A株式会社) 100 / 預金(A株式会社口座) 100
(A株式会社の仕訳)
預金(M銀行) 100 / 借入金(M銀行) 100
となります。

M銀行の仕訳における預金は、自行の預金ですので「負債の発生」の仕訳です(銀行にとって自行の預金は負債です)。

お金を貸す(融資の実行)というと、すでに存在するお金を渡すイメージを持たれるものでしょう。しかし銀行の融資は「自行の預金として記帳する」ことによってされます(具体的には担当者がシステムに入力して権限のある責任者が端末で承認の操作をするのでしょうが手を動かすレベルの実務までは存じません)。

銀行預金は貨幣ですので、政府・中央銀行の政策作用によらずとも、貨幣は民間で内生的に供給される。という理論で、これは金融・会計実務に合っています。


租税貨幣論

 通貨(法定流通貨幣)は、法律で定められても使われないかもしれません。政府が不安定な国では、米ドルなどが出回っているそうです。
 自国通貨が、通貨として広く受け入れられるのはなぜか? 通貨でしか、税の支払いを認めないからというのが、租税貨幣論の概要です。

租税債務の成立も、租税債務の納税による消滅も、自国通貨(日本なら「円」)によって測定され、実行され、自国通貨によってしかできないので、その意味で自国通貨には経済的価値があり、需要が生じる。という内容で、仕訳例は出すことも無いかもしれません。


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