岸本尚毅の俳句一問一答 (日本語) 単行本 – 2005/11/1 岸本 尚毅 (著)

・題詠のやりかた 同じ季節の題詠を三つほど決めて五句作る。30分の締切時間を決めて集中する

・いづれのおほんときに… 源氏物語
古典の冒頭を使う手法

・誰がどんな句を評価し、その評価が妥当かどうかという問題は正直なところ如何ともし難いのです。たしかに、選者・講師と称される有名俳人の選評や俳句総合雑誌の句評にどんな句が選ばれ、褒められているかは誰しも気になるところです。しかし俳句の評価は、選者・講師である有名俳人の権威で決まるものでもなければ、人気投票や多数決で決まるものでもありません。俳句の評価とは案外実体がないものです。(略)私自身は、「わび、さび」といった理念も、俳壇の評価も、何も気にせずに、ただ自由気ままに俳句と向き合いたいと思います。

・饒舌は俳句の敵。事実にこだわると俳句は説明になる。

・「説明的」な俳句を脱するためには、自分の句にまだ省略の余地がないかよく点検すること。省略の面白さを理解することが、俳句の楽しさを倍加する。

・俳句は芸術です。私たちが俳句を作る目的は、五七五のかたまりとして構築された芸術作品によって、読み手に快い読後感を与えるためなのです。

・桑原武夫「第二芸術─現代俳句について」
「世界」(岩波書店)の昭和21年11月号に掲載

桑原が、高浜虚子、中村草田男などの作品十句と、無名の作品五句を混ぜた十五句を無記名の状態で大学の教師や学生に見せて評価させ、その結果「一句だけではその作者の優劣がわかりにくく、一流大家と素人の区別がつきかねる」と結論。

高浜虚子「俳句は第二芸術まで出世しましたか」
虚子が俳句を始めたころはこれを芸術と思うものはいなかった。せいぜい第二十芸術とくらいと言ったと言われる。

・(スランプを乗り越える)
水原秋櫻子『俳句のつくり方』
「句作不振の場合の心得」
「消極的の方法」
焦らずにじっとしていて、自然に作句力の戻るのを待つ
毎月の投句だけは欠かしては欠かしてはいけない
「積極的な方法」
作句を励行して、この危機を乗り越えてしまう。
歳時記を開いて毎日一題か二題の季題を選び、それによって五句づつ作る

・(失敗しやすい言葉)
「○○路」という言い方は気取った感じ、旅行会社の広告のような俗気がある。

「バス停」「無人駅」「車窓」
「バス停」「無人駅」は簡略化した言葉でぞんざいな印象。
「車窓」
「一般に車窓から見た風景というものは、一瞬の間に過ぎてしまうのですから、十分に観察する暇がなく、従ってよい詩因になるはずがないのです」
「車窓でよい発見をしたら、近い駅で下車して、そこまで行き、十分に観察してから詠むべきです。一瞬の間に見た材料で、よい句を作ろうなどというのが、そもそも間違った話で、楽をしつつ作句しようというような考え方は、早く改めるべきです」(水原秋櫻子『俳句のつくり方』



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