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【小説】仔猫ぶーちょの生活-21 月齢八か月まであと少し

今年五月の終わりに生後に三週間で保護したぶーちょだが、年末が近づいた今、八か月を迎えようとしている。

すでにぶーちょのケージはがら空きだ。根棚に置かれた木綿の敷物を無視している。トイレもすでに浴室に移動し、毎日それを使っている。ただ、ケージのてっぺんに二つ置いてあるクッションで、昼間はそこで寝て過ごすことが多い。つまり、ケージで使っているのはてっぺんだけだ。

かつてはお気に入りだったキャットタワーの宇宙船も、体が大きくなり入らなくなったので、おもちゃの鼠の巣になっている。

夜は仔猫手当を縞尾と一緒に食べた後、居間に行くドアが閉じられると、男の飼い主の膝の上でまったりと過ごしている。

そして、朝になり、少しでも飼い主たちの起きるのが遅く、ぶーちょに居間が解放される時間が遅くなると、ドアが開いた後も、午前中ずっとクレームのなき声が響く。

そうなのだ。ぶーちょはなかないどころか、すごいおしゃべりな猫だった。おしゃべりではあるが、クレームしか言わない。

ぶーちょは、縞尾だけ外出が許されているのも気に入らない。これも、ぶーちょのクレームの対象になる。「出せ出せ出せ」としつこくなき、かみついてくる。

そして、ぶーちょの偏食の傾向には面白いものがある。少量しか入っていないぜいたくなパウチとか、縞尾の大好きな激安パウチや激安缶詰は好きだが、それ以外のパウチや缶詰は、くんくん胡散臭そうににおいをかいだあげく、食べない。肉も魚も食べられない。マグロのお刺身も、本の一口しか食べない。
これからぶーちょはどんな猫に成長していくのだろうか。まったく分からない。


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