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【小説】仔猫ぶーちょの生活-17 ぶーちょの閻魔帳

ぶーちょは閻魔帳を持っている。小さな頭の中に小さな閻魔帳を持っている。その閻魔帳には、飼い主の普段の行いが点数付きで評価されている。

例えば、以前だったら、ケージを開けて自分を解放する時間が何時だったとか、ケージから脱出した今となっては、居間の扉を開けて自分を解放する時間が何時だったとか、猫トイレを何回きれいにしてくれたかとか、日常生活のこまごまとしたことが記されている(ようだ)。

飼い主が、朝いつまでも寝ている、したがって居間のドアも開かず自分もいつまでも男の飼い主の部屋に閉じ込められている、というようなことがあれば、飼い主たちは容赦なく攻撃される。

攻撃に抵抗して反撃すると、ぶーちょの怒りは頂点に達し、鋭い牙で手や足に執拗にかみつき、離さなくなる。部屋中に飼い主の悲鳴が響き渡る。

この閻魔帳に記されているチェック項目は、ぶーちょの成長につれて、日々増え続けているようだ。


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