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【小説】仔猫ぶーちょの生活-15 うちの猫が一番かわいい

保護した生後二三週間から、ぶーちょはとてもかわいい(容姿が)仔猫だった。耳と目が大きく、毛皮はすべすべで、真っ白な地に灰色の模様は美しい。

こんなにかわいい仔猫はほかにはいない、と飼い主は思ったが、YouTube でぶーちょと同じころに保護されたたくさんの仔猫を見た飼い主は、愕然とした。みんな恐ろしくかわいい。ぶーちょと同じくらい可愛いのである。

飼い主は理解した。きっと世界中の猫の飼い主は、自分の猫が一番かわいいと思っているのだろう。そしてそれは真実なのだろう。どこにいても、誰が飼い主であっても、世界中の猫はみんな、世界で一番かわいいのだ。

ぶーちょは、実は雷が怖い。初めて雷がなった時、一目散に押入れに駆け込んだ。この世に怖いものなし、と部屋中を荒らしまわっていたぶーちょが、雷が怖いのだ。

それから、ぶーちょは、敷物にもうるさい。化学繊維が大嫌いだ。綿百パーセントかウールでないといけない。さらに色の濃いもの、特に青い毛布が苦手らしい。理由は分からない。

それでも、ぶーちょは世界で一番勇敢でかわいい猫の一匹である。


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