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企業経営入門:スタートアップに必要な経営力

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上場・未上場に拘わらず、成長が期待される事業/スタートアップを中心としたビジネス関連の面白いnoteをまとめます
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#投資

なぜSmartHRはユニコーンになれたのか

TAKA(@Murakami_Japan)です。今日は日本のスタートアップ・エコシステムにとっても、自分自身にとっても記録すべき日だと思いましたので、突然ですが筆をとりたいと思います。 本日、私自身も2018年から経営に伴走させていただき、2019年からは株主としても支援させて貰っているSmartHRが資金調達のリリースを発表しました。これまで何度も資金調達のリリースは見てきましたが、今回はいつもとは少し異なる感情も芽生えています。 それはSmartHRがユニコーンの仲間

キャッシュフローは企業の大動脈である

TAKA(@Murakami_Japan)です。今日はお金のお話。ビジネスマンが経営者になると気が付く、そして世の専門書でも散々言われる、「キャッシュフローが大事」という企業経営に関するお金。 結論から言えば、その通りキャッシュフローは極めて大事、ある意味最も大事と言っても良いかもしれません。 しかし実際はその大事さほど、その重要性を理解していないビジネスマンも多いように感じます。今日はどうしてキャッシュフローが大事なのか、その点について書いてみたいと思います。 キャッ

Sequoiaの変貌の必然:スタートアップは長期的な社会価値創造のインフラへ

TAKA(@Murakami_Japan)です。実はNewspicksの新サービス"Topics"の初代オーナーに任命されました。そしてこれが第一回の投稿です。これから時事ネタ、国内外のスタートアップ、大企業、M&Aや資金調達、IPOなど、雑食なテーマをファイナンスやガバナンス 、サステナビリティといった観点で切り取っていきたいと思います。是非、noteと合わせてフォロー宜しくお願いします。 記念すべき第一回のテーマは、Sequoia Capitalです。2021年10月末

IPOの役割が危うい:成長企業の資本政策について考える

TAKA(@Murakami_Japan)です。 最近いくつかマザーズ上場企業の「IPO後の」資本政策についてnoteしてきました。先日、条件決定したBASEの資金調達(詳細は下記noteご参照ください)もその一つですが、上場後の資本政策(資金調達や売出)の事例が充実してきたことで、結果的に以前より議論になっていたマザーズIPOについて議論する必要があるように感じています。先に結論から申し上げると「マザーズIPOの役割が危うくなっている」と思います。 要はこういうことが起

【徹底解説】コーポレートガバナンスとは何か?(基礎編)

TAKA(@Murakami_Japan)です。私、職業柄、たまたまなんですが2003年からコーポレート・ガバナンス("CG")をそのものをテーマにしたり、その考えに基づいて仕事をしたりし続けてきました。丁度、米国で意識が高まり始めた頃と重なります。今も、コーポレート・ガバナンスに直接関与していますし、それを考える立場にもいると自覚しています。 ただ、この18年間、常にぼんやりと感じ続けてきたことがあります。「コーポレート・ガバナンス」って一体何なんだと言うことです。おいお

【徹底考察】スタートアップが成長に応じて考えるガバナンス要点

TAKA(@Murakami_Japan)です。先ほどclubhouse(@takamurakami)でスタートアップ・ガバナンスのルームをやったのですが、そこで私が話した内容のメモです。 問題意識としては、昨今スタートアップ・ブームは歓迎すべきことではあるのですが、プロダクトやPMFといった事業よりの話は巷にあふれているものの、コーポレート・ガバナンスについて語った情報は少ないと思います。また、多くの解説が2015年から導入されているコーポレート・ガバナンス・コードを意識

Makuake:海外募集による資金調達の狙い

TAKA(@Murakami_Japan)です。本日、Makuakeが約40億円の資金調達を実施しました。私のnoteをご覧いただいている方にとっては、「おっ、またマザーズ上場企業が資金調達か」と思ったかもしれません。それだけポストIPOスタートアップの資本政策が進化していると言うことです。今回、ABBというスキームで調達しているのですが、ABB(後段ご覧ください)という言葉ですらやや知名度が上がってきている今日この頃です。 では早速、今回の資金調達の狙いについて見ていきま

【優秀さの定義】ストリートファイターと学歴エリートは何がどう違うのか

TAKA(@Murakami_Japan)です。秋晴れの三連休、事情あって家にいるので徒然なnoteを書いてみようと思います。 ずばりタイトルの通り「ストリートファイターと学歴エリート」について。定義を明確にしておきましょう。まず、学歴エリートでもストリートファイターである方は大勢います。ストリートファイターは必ずしも学歴エリートでないわけではありません。この2つは排反事象ではないことはあらかじめ断っておきます。ですので、ビジネスの世界で優秀な方のうち、「ストリートファイタ

上場企業のガバナンスで形式よりも大切なこと

TAKA(@Murakami_Japan)です。 ガバナンスって聞くと大袈裟で難しそうですが、寧ろできる限り簡易に整理できたらなと思い、筆をとります(でも実際は言うほど簡易になってないw)。 もともと、ガバナンスって、日進月歩のテーマで専門家でも様々な意見がある分野で、まだスタンダードも確立されきっていません(言い過ぎ?w)。だからこそ、法的な整理だけではなく、実務的な整理、またできる限りシンプルに議論してみることが大事かなと感じています。なんとなくこれを読んで、ガバナンス

米メルカリ事業の成功をバランスシート視点で考える

TAKA(@Murakami_Japan)です。今日はメルカリについて気になってたことを書いてみます。メルカリは会社も大好きですし、サービスもヘビーユーザーですので愛着しかありません。 いきなり結論から言うと、今「メルカリ経営陣はめちゃめちゃ難しい経営の舵取りを迫られている」、と考えています。この難しさの根源にあるのが、バランスシートを主とする財務戦略です。公開情報をざっとみただけの考察なので、かなり粗い点はご容赦下さい。なお、この投稿は個人的な考察に過ぎません。決して投資

【理系脳で考える経営】経営で陥りがちな3つの罠と、その打開策

TAKAです。経営の話をすると、議論が白熱することがよくあります。私の周りでも頻繁にそうなっていますが、ついつい陥りがちな「罠」があると思っています。テーマが重要であればあるほど、白熱すればするほどです。今日はそんな経営における「罠」について考えてみたいと思います。 よくある経営会議での会話社長A:いま、当社にはXYZという課題が生じている。なんとかこれに向けて打ち手を考えて、早期に実行し、さらなる成長に繋げていくべきだ 役員B:是非関係するメンバーを集めて、議論しましょ

オープンロジの資金調達が凄い7つの理由

TAKA(@Murakami_Japan)です。今日、株主であり資本業務提携をしているオープンロジが資金調達を発表しました。総額17.5億円、累計調達額27.5億円!! 金額も大きいのですが、それだけだとここ数年のスタートアップファイナンスの大型化のトレンドからすると然程ニュース性はないかもしません。それでも今回オープンロジの資金調達は(手前味噌ですが)結構凄いと思います。特筆すべき7点をご紹介したいと思います。スタートアップ経営者を中心にエコシステムに関わる方の参考例とな

ライフネット生命の"Re-IPO":海外募集による新株発行及び株式売出

TAKA(@Murakami_Japan)です。 ライフネット生命といえば、2006年、金融危機前の好景気の中で創業され、金融危機と東日本大震災などを潜り抜け5年半足らずで上場した、昨今マザーズへ上場した企業からすると、マザーズ上場企業の老舗企業です。会社名こそ、B2C企業でありテレビCMもされており、一定の認知を獲得していることからもよく知られた存在かもしれませんが、上場後から今日に至るまでのストーリーは一般にはあまり知られていません。 この度、2012年の上場以降、最

BASE:上場、コロナ、そして大型ファイナンス

TAKA(@Murakami_Japan)です。最近、マザーズ上場企業の大型ファイナンスが増えてきている。一連のトレンドについては、どこかで触れたいと思うが、今日発表されたBASEの資金調達について筆を取ってみたい。 ほんの1年足らずで、上場、コロナ、そしてこの大型ファイナンスの実行である。ホップ・ステップ・ジャンプ、という言葉がまさにフィットするように事業面でも資本政策面でも一気にステージを引き上げることに成功している。 今回私が注目したのは、大きく3点ある。それぞれの