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【人には住所がある】

下さった年賀状の返事を書くためにパソコンの住所データベースを開き、引っ越した人の新住所を入力する。

SNSでのやりとりばかりで葉書や手紙でのやりとりをやらなくなると、人には住所があるという事実を忘れてしまう。このことに気付き、ある種の感慨を覚えた。

ほとんどの人は郵便番号で示される住所を持っている。住所という漢字を分解すると、住むところ、つまり暮らす所、生きる所を指す。定まった住所を持たない人でも、生きる場所を持たないことはあり得ない。
人は皆、どこかの場所で生きている。

住所は住居を指す。住所はその人の家を想像させ、暮らしを想像させる。さらにその人の幸福や安心、つまりその人の暮らしから生まれる感情をも想像させる。

紙のメッセージを送るのは、アナログ的な行為。私は今日、それによって忘れていたことを思い出した。ただしこれは懐古趣味ではない。現に私は年賀状をデジタルに移行させることを決めた。アナログとデジタルの対立が言いたいのではない。

日常的にやらなくなってしまったことの中に大切なことが潜んでおり、それをやることでそれに気付く。つまり、年賀状を書くことで、人が場所に生きていることに気付く。
この気付きに意義がある。

実際に手を動かし、当たり前のことに気付くこと。そこから生まれる感慨。
これらのことは日々の作曲に還元されていく。

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#わたしが私として生きるためのエッセイ 40
#息をするように音楽をする
#日常は日常のままで別次元
#fujisakihirokazu

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