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グスタフ・クルムレ 2024/03/29の日記

今日は用事があった気がして新大久保に行ったけど、予定があるのは明日だった。こういうことを積み重ねていつか死に至るのだろう。絶望の病は死に至らず。ミススケジュールこそ死に至る病である。

新大久保、どんなところか全く知らなかったけれど、ムスリムの人がめちゃくちゃいたな。そこらじゅうでハラールの食べ物が売られてて、見たこともないようなフルーツが店先に並んだりしている。見てるだけでも最高の街だった。

謎のスナックも買った。クルムレ…でいいのかな。ネパールで人気のお菓子らしいが、ありえないぐらい辛くて、食べてからしばらくヒーヒー苦しんでいた。日本のお菓子はユーザーフレンドリーなんだな。単に文化的な辛さの許容量が違うだけかもしれないが。

明日も来るのでもうちょっと下調べをしてから近辺で人気のお店とかにも行ってみよう。それにしても楽しい風景だった。文化の交流するところって雰囲気だな。カルチャー…。


夜は山括弧塾。今日の範囲は権利の放棄とか愛の赦しについて。

今日はなんだか掴みどころところのない話だった。なんとなく永井もだんだんこのテキストで飽き始めてるような雰囲気もあった。なんか途中でいきなりハイエクの話とかし始めてたし。あれ何だったんだ。いや本当になんで?

実は遅刻してしまったので前半の話はほとんど聞いてなかったんだけど、後から聞いたところによると要するに戦いになったら権利の放棄をしろ、という話だったらしい。

ヘーゲルいわく、どうやらあの有名な「右の頬を打たれたら左の頬も差し出しなさい」的な赦しによって、この世で起きうる争いは全部仲直りできるんだって!そうですか…。

まぁその…なんか…割と最初から思っていたことだけど、ちょっとこの時期のヘーゲルはあまりにもナイーブすぎない?そんなことしても別に何も解決しないっていうか…もし殺されちゃったらどうにもならないじゃん!って思うんだけど、私だけ?

てか永井も指摘してたけど、この話には明らかに普遍妥当性がないよね。つまり、みんながこれと同じことをした時に世の中が良くなるかを考えると別にそういうことはなく、一部の完全な荒くれ者が永遠に勝ち続けて終わり、というだけにしかならない。それはヘーゲルの言うキリスト教的な観点からも明らかに善くない状況だと思うんだけど、それはどう説明つけるんだろう。

後半はもっと変な…というかコミュニタリアニズム?って永井は言ってたけど、なんかちょっとアナーキーな部分も感じる話だった。つまり今までと同じく律法を廃せ!という話なんだけど、じゃあ有事にはその代わりに何をすべきかというと、それは外的な罰とかじゃなくて、身内同士の間にある愛でなんとなく解決しろ、という。うーん…これもまた…どうなんだろうこれは…。

まあ言っちゃあなんだけど、内々での解決ってだいたい悲惨なことになるよね。結果的にリンチとか晒し首になることもしばしばあるし。それほどじゃなくてもいわゆる村八分が起きるのは間違いない。これは全然トンチキなオリエンタリズムじゃなく順当な話として。

もちろんヘーゲルの言う通り、仲間同士でなあなあにするなんてことも実際あるけれど、それはあくまで外的な集団とのヘゲモニー闘争等において発生する利害関係を差し引いた結果、下手人を許した方が政治的に得だったという場面があるだけで、単純にその内部の事情のみを考慮する場合、そこの運営原理から外れるようなことをした奴に訪れる「愛の裁き」というのはなかなか想像を絶する陰湿さを感じさせるものがある。

やっぱり内向きの感情だけのコミュニティは暴走するんだろうな。結局どんな共同体でも、法とか資本みたいな外化されたものが程よく慣習や感情とセットになって運用されてないとダメだ。どんな社会体制でも成り立つ「エゴイストの連合」はまだわかんないけど。

みたいなことを考えて渋い顔をしていたら、永井に顔が面白いと笑われてしまった。確かに表情はよく変わる方だと思うが。まあ嫌ではないけどね。

永井は全共闘もそうだけど、かつてのヤマギシ会とかの瓦解を目の当たりにしていた世代だから色々肌感覚でわかったりする部分もあるんだろう。私は全然わかんないけど、有名な「新しき村」とかならこの前クラウドファウンディングをやってるのを見かけたからなんとなくそういう共同体があるのは知っている。

まあ結局は流行りってことなんだろうね。イエスもそうだし、ブッダもそう。定期的にそういうことを言う人が出てきてはなんか適当に流れていく。


終わった後に駅に向かっていたら、途中でピザの配達トラックが電車の線路橋にぶつかって貨物部分が斜めにひしゃげていた。流石は無法の地。やはり自由ヶ丘こそ人々の感情によって運営され、疎外そのものである法を考慮しない共同体に最も近い場所なのかもしれない…。

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