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熱には熱を!

 明治座公演の千秋楽を涙と共に観る。未曽有のコロナ禍の中、怯え続けた市井の集合者一人ひとりの『熱』を思い涙する。それは、本舞台に関わった、市井の集合者たる者たちの怯えと震え、混沌とした戦後闇市下の這いずるような人々の暮らし・・・と、重なる重しの共有をオーディエンスに与えただろう。ザ・クロサワに寄り添う丁寧な脚本や、三池さんの合理的な演出と相俟って、それらの見えざる恐怖を味わっている集合者たちの熱は、舞台の終幕近く『熱気の渦』となって私に跳ね返ってきた。

 時に緩急自在に往時の志村喬を出し入れした高橋克典さんの演技力と、彼女には舞台があるじゃないか!と言いたくなるような、佐々木希さんの健気な演技に胸を打たれた。

 暫くはこの熱に浮かされそうである。


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