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本の話 クラウゼウィッツ 戦争論

ドイツ留学中だった若き日の森鴎外は同じく留学中だった友人の早川恰与造という人に週二回、クラウゼヴィッツの「戦争論」を購読しレクチャーしていのだとか。この早川という人は後の日露戦争で参謀総長大山巌の下の参謀次長として対ロシアの作戦指導の中心人物になったというから…無名時代の森鴎外の功績はとても大きいと思います。

クラウゼヴィッツの「戦争論」は知る人ぞ知るといった無名の書物でプロイセン(ドイツ)の将校だけが読んでたマニアックな本だったそうです。英訳もないからドイツ語がわかる人だけが読めたものだったそうですがその森鴎外のレクチャーがなかったら日露戦争の結末も全く違ったものになったかもしれません。

孫子の兵法が「故に上兵は謀を撃つ」「百戦百勝は善の善なるものにあらず」とひたすらに戦争を避けることを第一と説くのに比べ、クラウゼヴィッツは「戦争は政治の継続」と真正面から戦うことを念頭にいかに軍隊が強くあるべきかを説いています。森林や沼地はこう攻めろ、夜営はこうやってしろ…etc 戦争といえば飛行機やミサイルが飛び交う今の時代の我々が読んでもピンとこないところが多いですが指導者がこの一冊を読んだかどうかで19世紀~第一次世界大戦までの戦争の行方は大きく変わったのですから、やはり恐るべき名著だと思います。最後には「戦争の方法は技術進化によって変化する」と指摘してあります。

#本

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