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【レビュー・十二国記シリーズ】魔性の子

11本目かい?もう11月も2週目だってのにあと40本も残っているねえ。慶国の女王様はお前と同じ蓬莱生まれにもかかわらず自力で雁までたどり着いて延王を説き伏せたそうじゃないか。全く同じ人間でこうも違うとはねえ、そう思わないかい?笨馬。

アニメの梨耀様はcv高山みなみさんなのでめちゃくちゃクールな乱太郎みたいで好きです。やってるこた最低だけどね!

魔性の子は風の海〜と同時並行で読みました。十二国記シリーズとはいえ発表されたのは月の影〜より1年ほど前。当然シリーズものではなく単独作ですが、後に十二国記シリーズの外伝となりました。作中の単語や設定は後に発表されたシリーズにもほぼ変更なく出てくるのでこの魔性の子発表時点で小野不由美先生が十二国記の世界設定や出来事をいかに深く作り込んでいたかが伺えます。

舞台は蓬莱、日本。1991年なのでスマホはおろか携帯電話も出てきません。情報の伝達はなんと固定電話!卒業校に教育実習生として派遣された広瀬とクラスで変に孤立しているため逆に目立つ高里要、彼を中心として発生する悲惨な事件と「高里の祟り」によって混乱していく世間が彼らをエスカレートするように追い詰めていく。十二国記シリーズは中華風ファンタジーですがこれはまさにホラー!ホラーファンタジーではなくホラーです!何より描写がえぐい!最初の犠牲者、岩木君の凄惨な死体に始まり集団自殺、高里家の惨劇にいたってはあれ?これ十二国記シリーズに含めていいやつかな?鬼談百景読んでたんだっけ?と思わされましたね!ホラー作家の本領発揮という感じ。

今作のキーワードは「故国喪失者」。教生の広瀬が家族にも学校にも馴染めない自己を称した言葉です。なんか自分とみんなは違う!自分は本来ここにいるべき存在じゃないんだ!とする考え方ですが終盤で広瀬の恩師、後藤には「辛い現実から目を背けているだけだ」と指摘されてしまいます。うッ…これかなりの人に刺さるのでは…?自分の居心地のいい場所がどこかにある。いつかそこにたどり着いて今より良い暮らしをするんだという妄想、しますよねこれ。。。

物語は真に「故国喪失者」だった高里を目の当たりにして絶望した広瀬が「故国喪失者ではなかった自分」を認め、象徴的に高潮から逃れて走り去るシーンで終わります。広瀬のその後はわかりませんが泰麒との約束とおり普通の人生を送れているといいな。1991年に21歳くらいだから2019年だと…49!!教頭か教務主任くらいなってそうですね。あの後も教員目指してれば、ですが。。

なおこの時高潮(蝕)に帰還する話が「黄昏の岸 暁の天」で語られるそうです(未読)。その後につながるのが「白銀の墟 玄の城」で神隠しに会っていた高里要の十二国記での話が「風の海 迷宮の岸」というわけですね。


(追記)白銀の墟 第3巻第4巻発売になりました!!!!ヒュー!ヒュー!ヒューグラント!買ったその日に第3巻は読んでしまったのですが前半で入念に敷かれてきた伏線は第3巻でほぼ回収していましたね。第4巻は前日譚にあたる「黄昏の岸 暁の天」を読み終えてから満を持して読もうと思っています。楽しみ



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