エイミー先生、そんな英語いいませんよ!
来年度からの小学校英語教科書のイラストが解禁になったので、絵師さんのツイッターアカウントで目を通しました。皆さん「うわーアニメのキャラクター設定図みたい」と感嘆されていますが、中学校英語教科書はすでにその水準になっていますよ。少なくとも三省堂のはそうです。
ちなみに東京書籍の中1英語教科書はこんな感じ。これのひとつ前の時代ので「エレン先生」がいきなりツイッター界隈で大ブレイクしてしまった反省からか、現行のものはやや抑え気味です。エレン先生の後任的なこの女性、なんて名前だったかな。ミズ・ブラウンだったかな。これは中1の年明けに習う章。冬休みにロンドン旅行を楽しんだ彼女が、その思い出を生徒用に綴ったものという設定です。
鉛筆の書き込みは、これを使っていた中学生さんによるものです。各単語に日本語訳が書きこまれていて、ほほえましいですね。しかしもし、ここにあるミズ・クックの英文、間違いだらけだと知ったら、この子はどんな顔をするのでしょう。
I traveled to London with my friend during winter vacation. (?)
DeepL翻訳に入力すると、一見まともな日本語訳が出るのですが…
冬休みに友人とロンドンに旅行しました。(?)
これ実はおかしいです。おかしいというのは原文がです。AI は多少おかしな原文でも整った訳文にしてしまうのでわからないでしょうが、この原文、英語ネイティヴの目にはきっとこんな風に映ります。
冬休みに、唯一の友とロンドンに旅立った。
うふふ、この英文をお書きになったのは日本人なのがまるわかりですね。まず「私の友だち」のつもりで「my friend」としたのでしょうが、これは「私のかけがえのない友人」と聞こえます。イラストを見ると同性の方のようですね。読みようによっては、ミズ・クックは同性のパートナーがいて、それを「my friend」と遠回しのいい方で紹介しているようにも取れるのです。
次。エイミー・クック先生になり切ってこの英文をお書きになった方は、きっと「私は冬休みにロンドンに旅行した」のつもりで、こう作文したのでしょうが、
I traveled to London […] during winter vacation. (?)
これですと、ネイティヴの目にはこう映ると思います。
冬休みにロンドンまで長旅をした。
百年前なら、日本からロンドンまでは船で一か月はかかっていたのでしょうが、今は航空機を使えばロンドンまで一日で行けます。
しかしブラウン先生が言いたかったのは、
冬休みを使って友人のひとりとロンドン旅行を楽しんだ。
ということだと思うので、
I enjoyed a stay in London with one of my friends over the winter break.
つまり
冬休みには友人のひとりとロンドン滞在を楽しんだ。
とすべきですね。
(続く文で「一週間いた」とあるので本当はもう少しいじるべきなのですがめんどくさいのでとばしました)
[続く]
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