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「囲碁がもはや囲碁に見えない」と往年の名人

私の家はかつて朝日と日経と地元紙の三つを購読していました。今は日経ひとつです。そこそこ目を通しています。

テレビ欄があるべきページが文化欄になっていて、その左上に「私の履歴書」というコーナーがあります。毎月、各界の著名人が自分の半生を随筆で振り返っていく趣向です。(たいてい男ですがたまに女のひともペンを取っています)

今月は韓国出身の囲碁名人さん。今日のはとりわけ味わい深い。AI論です。現在の世界チャンプたちについて…

皆AIの申し子と言っていいが、彼らの碁はボクが見てもさっぱりわからない。従来、形が悪く、絶対にダメとされるような手でも平気で打つ。今までボクが勉強してきた碁とは考え方がまるで違い、感覚的には将棋を見ているのと同じだ。


「将棋を見ているのと同じ」というのは、おそらく「囲碁なのに囲碁に見えない、ほかのボードゲームに思えてしまう」の意です。

そのくらい囲碁の打ち方が変わってしまったのかと、囲碁経験のない私にはとても印象に残りました。

ボクらが何時間も検討して「良しあしがわからない」場面でも、即座に「黒の勝率70%」とか数字をはじき出す。そして人間にはこれに抗(あらが)う術(すべ)がない。「神様が作ったゲーム」にAIという別の神様が降臨してきた感じで、はっきりしているのは人間が愚かということだ。


AIの進歩で数学の研究が変わるだろうとすでに呟かれています。おそらくほかの分野でもすでにそうなりつつあるとみます。

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