夫が私を頼るとき。

夫は、群発頭痛という病気だ。世界三大激痛の1つなどと称されるほどの痛みらしい。

世界三大と言う割には、あと2つだって予想がつかない。世界三大珍味や世界三大夜景が有名なのは、味やら美しさやらを他人と共有したりできるからだろう。痛みは共有できない。あくまで想像の痛みだ。

私には、夫がどれほど痛いのかは正確にはわからない。が、見ている側でも想像するだけで血の気が引く。大金をやるから代わってくれと言われても、菓子折り持って丁重にお断りしたい。それくらい痛そうなのに、夫は会社勤め時代、群発頭痛が起きたら有給休暇を使って休むしかなかった。といっても限りがあるので、辛そうな表情で家を出ることも多かった。

群発頭痛の特徴をちょっと説明する。

・眼の奥に激しい痛み(夫曰く、かき氷を食べ過ぎたときの頭痛を1億倍、痛くしたやつらしい)

・1日1回、1~2ヶ月、毎日痛い。(寝て2時間後くらいに多い。1日に何回も来るときもある。)

・痛みは1〜2時間位続く。

・安静にできない。(痛すぎて、大声で叫んだり、頭を殴ったり、壁にドンドン打ちつけたり、服を着たまま冷水シャワーを浴びたりと、とにかく発狂してしまう。その姿はもはや別人。)

眠いときに、わんこそばのごとく、かき氷をかきこむ。これを60分、1カ月続けると想像してみてほしい。多分この想像より上をいくつらさだ。なのに、この病気はまだ厄介なところが潜んでる。

1.薬が効かないこともある

夫は、薬も何種類か試したり、色々治療法を試してみたようだけれど、今ひとつ効果がないよう。今のところ、ただ時が過ぎるのを待つしかないのが、見ている方もつらい。

2. 予防してもやってくる

お酒を飲んだらアウト。飛行機に乗ったらダメ。お昼寝しちゃうとダメ。お風呂に浸かるとダメ。わかってること全部避けても痛くなる。

タバコの煙も必ず痛くなる。喫煙場所は避けるけれど、完全には難しい。不運にも外出先で浴びると1時間程、全ての予定がストップする。たとえ仕事中でもだ。

3. 1割 群発、9割 普通

いいことのように見えるけれど、これが一番厄介な問題。

群発期が終われば、健康な人と変わらない。

頭痛がつらいと言っても、片頭痛と思われたりうまく伝わらなかったり、1カ月毎日なので、サボっていると誤解されやすい。しかも、夜中から朝方に発作が出やすいので、会社の人たちに痛んでる姿は伝わらない。

かくいう私も、この病気を知ったのは、夫と出会ってからだ。それまでだったら、「頭痛がつらい」と言われたら「バファリン飲む?」とか言ってたとおもう。想像を超えた頭痛だった。そんな頭痛が発症して、15年くらい経つ。

薬も効かない、毎晩寝不足、発狂するほどの激痛なのに、会社や学校に向かわねばならない人が、日本にあと何人いるんだろう?

群発頭痛の患者の割合は、 0.056 %~ 0.4 %程度 ( 千人に一人程度 ) と頭痛学会のサイトに書いてあった。特に20〜40代の男性に多いそうだ。働き盛りどストライクである。

生理休暇みたいに、頭痛休暇なるものがあったらいいのになと思う。もう、そういう制度ある会社あるのかな?せめて、理解ある上司や同僚に囲まれていることを切に願う。

そして、群発マンを静かに見守る家族も、共にリフレッシュしながらいきましょうね。


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