"Upstart Holdings($UPST)に競争優位性はない。企業価値は過大に評価されすぎ" Seeking Alpha 日本語翻訳・和訳

この記事はSeeking Alphaのこちらの記事の日本語訳です。
急激な株価上昇を続けている$UPSTに関して、客観的視点で負の側面について定量・定性的な理由・根拠を持って述べたコメント・記事は他にないため、非常に貴重な内容です。
私自身も同銘柄への投資を考えていたところこの記事に出会い、大変考えさせられる部分がありました。今後の時間の経過とともに同企業の成長が鈍化した際に着目され出す内容かと思います。

今後投資されようとされている方の投資判断の一助となれば幸いです。


【サマリ】
●同社は、2020年12月に1.45Bドルの評価額で上場し、それから2年足らずで、270億ドル以上の評価額となりました。
●同社は、アルゴリズムを使用することでクレジットへのアクセスを拡大する「AI」貸金業者として自社サービスをパッケージ化しています。
●同社は、時間の経過とともにマージンが圧縮されるビジネスモデル。
同社は、ローンを組成するために平均6%の手数料を得ています。
●同社のホルダーは、下調べをしていません。Upstartは直近の四半期に28億ドルのローンを組成しましたが、現在の起業評価額は、年間1,000億ドルをはるかに超えるローンの生成を前提としています。
●同社のホルダーであるということは、伝統的な銀行が喜んでこの会社にローンの組成市場を譲り、さらにUpstartが個人および自動車ローン全体の年間15%のローンを生成すると想定していることになります。この両方は非現実的な仮定であり、同社は極めて過大評価されています。


私は、なぜ市場がUpstart(UPST)の今日の企業価値に至るための根拠を無視しているかについて書くことを待っていました。
現在、同社は1株あたり290ドル近くで取引されており、約9,500万株の発行済み株式で270億ドル以上の評価額となっているため、この投機的な株がなぜ“バブル崩壊”を迎えるべきなのかを説明する良い機会だと感じています。
この会社は確かにファンダメンタルズに反して株価が上昇し続ける可能性のある会社です。
しかし、企業価値は全く支持できるものではなく、大量の利益を得ている投資家は利確すべきであり、ショートの機会を探している人は、幸福感がもうしばらく続いた場合にプットオプションを使うべきでしょう。

Upstartは、ユニークかつ印象的なビジネスモデルを持っています。
人工知能を利用して個人向けローンの組成を合理化するなど、融資分野での革新的な取り組みであることは評価すべきです。
同社は現在、利益を上げており、今後も成長を続けることは間違いないようです。しかし、時価総額250億ドルの投資家は、同社の2021年度のガイダンスである7億5,000万ドルに対して、33倍のPSRを支払っていることになります。
もし、同社がガイダンスを更新し、今年何とか10億ドルの売上を達成したと仮定すれば、25倍のPSRです。2021年度に10億ドルを達成した後、2022年度に奇跡的に収益を倍増させたと仮定すると、2022年度のPSR 12.5倍です。
強気派は、この会社はソフトウェア会社であると主張するでしょうが、その主張は通用しません。これは、ソフトウェアと人工知能を使った“トランザクション(取引)の会社”にすぎないからです。
Palantir (PLTR)、Snowflake (SNOW)、Salesforce (CRM)のような企業は、経常的な収益があるため、高額な価格対収益倍率を設定することができ、一度ユーザー企業で利用されると、他社に移行するためのコストは膨大になります。

Upstartの場合、顧客はUpstart以外にも何百もの他の金融機関と比較することができますが、Upstartのサービス競合優位性や顧客囲い込みがないため、Upstartの極めて高いPSRを理由付けすることはできません。
次のシリコンバレーの有力起業家が独自にUpstartのようなビジネス構築を決定し、取引手数料をUpstartよりも低い3%のみとした場合はどうでしょうか?

LendingClub (LC) や SoFi (SOFI) 、あるいは銀行免許を持つ他の数多くのフィンテック企業が、取引手数料を一切徴収しないと決めたらどうなるのでしょうか?

Upstartには競合優位性がありません。

[Upstartのビジネスモデル]

ここから先は

9,795字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?