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0831 名探偵の不在〜『異人館ホテル殺人事件』

0.はじめに

こちらの記事は以下の注意点がございます。

・Chat GPTから文言等の修正を受けながら執筆します。
・1995年から1997年まで放映されたドラマ版ですので、アニメの話はほとんど出ません。

この2点をご了承いただける方はどうぞ続きを読んでください。

1.総評

評価:★★☆☆☆(星2)  
ドラマオリジナルのキャラクター設定が、全体の物語に対して大きくマイナスに作用しています。特に、美雪の設定変更により、犯人と対峙するときの彼女の魅力や迫力が大きく損なわれている点が残念です。
原作で描かれた悲劇を避けた点は評価できるものの、アニメのほうが原作に忠実で、改変も的確であるため、感動を生み出しやすいと感じました。

マイナスポイントについては最後の「まとめ」で述べますので、まずは本作の見どころからお伝えします。

2.具体的な見どころ

1.唯一美雪が単独で犯人に気づいたこと

本作最大の魅力は「美雪が犯人を見抜き、対峙した点」にあります。今回の事件では金田一はじめが病気で倒れてしまい、彼の代わりに美雪が3件の殺人事件のトリックと犯人を解き明かすことになります。この点に関しては、良い改変であったと感じます。

特に、犯人が自白後、はじめたちに銃を向けたシーンでの美雪の姿は印象的でした。彼女は犯人を睨みつけて、次のように告げます。

「いくら姿形を変えたって、心までは変えられやしない。あなたは…自分の運命から逃げ出すことしか知らない臆病者よ!あなたの…あなたのその弱さが、すべての悲劇を生み出したのよ!」

ともさかりえさんの演技力が光るこのシーンでは、罪のない人を身勝手な動機で殺された美雪の悔しさや悲しみが強く伝わります。このシーンは、ドラマ版の美雪ならではの感情を抱え込まずに吐き出す性格と、被害者の一人と向き合う機会があったオリジナルシナリオがうまく合わさっている名シーンと言えます。

ただし、前半で「はじめへの依頼料として届いたお金を着服した」という描写があるため、ここでの美雪の魅力が大きく損なわれてしまった点が惜しいところです。

2.証拠映像を持っていたのがドラマオリジナルキャラクターだったこと

今回の犯人は、原作では何の罪もない人物を2人も殺している非常に身勝手な人物です。しかし、ドラマ版ではその身勝手な犯人が手を出せない理由があり、結果的に胸糞要素が和らいでいます。

その理由が、ドラマオリジナルキャラクター「天神学園新聞部の3人」の存在です。今回のエピソードは、そもそも『金田一少年の事件簿』と『銀狼怪奇ファイル』のクロスオーバー回だったため、『金田一少年の事件簿』の美雪と『銀狼怪奇ファイル』の天神学園新聞部の3人が共演して謎を解く展開となりました。

これにより、犯人は「自分が不利となる証拠を、彼らがいない間に奪い去る」以外の選択肢が取れなくなったのです。1人の少年ならともかく、3人の高校生を殺害するのはリスクが高いという状況が設定されたためです。

3.まとめ

このように、本作は良くも悪くも原作から外れた回です。先述したように、原作には登場しないドラマオリジナルキャラクターの存在や美雪の活躍が魅力となる一方、以下の点が問題点として挙げられます。

  1. 後半では美雪の優しさと勇敢さが前面に出されて魅力的ですが、前半での「はじめへの謝礼金をネコババした」という描写により、キャラクターに一貫性が欠けています。この統一感のなさが作品全体の質を落としてしまっています。

  2. 原作では「赤ひげのサンタ」が怪人として登場していますが、季節の関係上本作では「冥界の道化師」というオリジナルの怪人に変更されています。このため、アニメで描かれた「サンタさんの奇跡」が再現できず、原作由来の伏線が無意味になっています。

このため、原作が好きな方はドラマ版よりもアニメ版を視聴することをお勧めします。ただし、本作では美雪が最も魅力的に描かれているため、彼女の魅力を存分に楽しみたい方は、「4:11」の脅迫状のシーンまで飛ばしてから視聴してください。

4.次回予告

次回の投稿予定は前後編のため、「9月14日」です。同じ最終回ものでも『蝋人形城殺人事件』と比べると、その格の違いが際立った作品でした……もちろん、大変悪い意味で。ですが、上海魚人伝説までは辛抱です。あれは本当に神作でしたから……うーん。

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