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1002 闇に浮かぶ殺人者〜『名探偵ポワロ ABC殺人事件(吹替版)』


はじめに

初の1話完結型ドラマです。
見ようと思えばいつでも見れるような作品なので、社会人の皆さんにも勧めやすい作品です。
是非読んでいってください。
まず、『名探偵ポワロ』について。アガサ・クリスティが手がけた探偵もの小説のドラマ化で、今回すすめるのはNHKで放映され、BBCが手掛けた『名探偵ポワロ』シリーズの31話になります。(複数の会社が手掛けている人気作なので、はじめに伝えておきます。NHK版です、レンタルの際は覚えておいてください)
では、ここからはこの作品の魅力についてまとめていきましょう。

1.役者の演技が印象的

最初は大体これですね。主演のデビット・スーシェ氏の体型から歩き方に至るまでの全てが完成されています。そのため、他の役を見た時に彼だと認識できないほどでした。この圧倒的な演技力は必見です。
また、こちらの日本語吹替版は主人公・ポワロを熊倉一雄さん、相棒・ヘイスティングスを富山敬さんが演じているのですが、彼らの少しオーバーな演技と掛け合いもしっくりきました。人生で初めて字幕版を見た時のギャップがいまだに忘れられません。
「彼らはこんなに抑えてたの!?」
このように驚愕したことがいまだに脳裏に焼き付いています。

2.ミステリーの完成度が高い

原作がよすぎます。題名にABC殺人事件とあるように、これめはイニシャルが「A.A」「B.B」「C.C」とアルファベット順に人が殺されていきます。普通なら「戦争に帰って気が○ったやつにより行われた無差別殺人」に見えます。実際、その連続殺人をやりかねない人がキャストとして登場していますし。ですが、ポワロにはその事件が全く異なって見えているのです。その意外性を突く謎解きパートも本作の魅力といえます。

3.光と闇の演出が秀逸

ここで誰が犯人かネタバレしても、この作品の魅力は死なないと思います。なぜなら、犯人とポワロが行動する時の演出が秀逸だから。
まず、今回の話ではコナンや金田一にいるような「黒い人」をカメラアングルひとつで表現しています。黒い人の行動時間は暗い時間帯か、明るい昼時でも映画館の中など暗闇の空間。つまり、殺人を犯すときに闇を取り入れることで、「黒い人」つまり犯人の描写を描き切っているのです。
その一方で、ポワロが犯人を突き止めようと行動を起こすときは朝が昼の明るい時間帯なのです。また、犯人の見当をつけるために推理を繰り広げていたのも昼。ポワロを明るい空間、つまり光の中に置くことで、犯人と対立する側という二項対立を描いた演出になっているのです。しかも、犯人を当てる時間もまた昼。つまり、日本で言うところの「白日の元に晒す」を地でいく演出もまた本作の魅力です。ここは見ないと絶対に理解できません。

4.まとめ

ポワロシリーズは第13シリーズ70話まであるとんでもなく長い作品です。ですが、その内容は1話100分の尺を耐え抜けば十分飛ばし飛ばしでも楽しめる作品なので、初心者の方にも是非見てほしい作品です。
実際、私はこのドラマシリーズから原作を読むようになったので、原作を知らない人でも十分楽しめる作品だと確信しています。
ぜひ、意外性と緻密さに囲まれたミステリーの世界へ足を踏み入れてください!

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