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絵空事 -前日譚-

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自創作『絵空事 -十六夜月と銀の翅-』シリーズの【-irreal-】の前日譚にあたる物語たちです。【蒼ノ章】【白ノ章】【紅ノ章】【玄ノ章】【黄ノ章】に分かれております。
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#オリジナル小説

-紙片-

木は遙かに聳え、梢に聖なる歌が響く 聖歌は火を燈し、いずれ人々の涙を誘う されど其の輝きは…

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絵空事 -remota- 第1話「実らぬ穂」

とある一族に伝わりし伝承 されど偽りか真かは、当事者にしか判らぬ噺 *** どこか深い山…

絵空事 -remota- 第2話「銀と狐」

「…雨宿りかい。それは、大変だったろうねぇ。山の中で、こんな雨に降られては。…それも、君…

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絵空事 -remota- 第3話「月と翅」

夜が明けて、洞の中にも光が差し込みました。 銀翅の結界があるためか風は吹き込んできません…

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絵空事 -remota- 第4話「銀の穢れ」

銀翅は、式神を用いて山に家を造らせ、そこを住む処としました。村に本来の家がありましたが、…

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絵空事 -remota- 第5話「翅の傷み」

それからも銀翅は式神を用いて、或いは自身がその地に赴いて、村人の助けとなるように力を尽く…

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絵空事 -remota- 第6話「泡沫」

『不治の病』の悪化もあって、ほとんど山に籠りきりになってしまった銀翅に、 或いは『不治の病』とも言える欲深さに嵌まった村人たちは、僅かずつとはいえ、確かに銀翅に不満を抱いてゆきました。 その不満はやがて疑心を招き、さらに、その疑心は十六夜にも向きます。 『銀翅が山から連れ帰った女は怪しい』 『銀翅は、女を得ることと引き換えに、山の神と何か取引をしたのでは?』 十六夜がその『山の神』であることを知らない村人たちは、あらぬ疑いを深めてゆくのでした。 そしてその『疑心』は、まる

絵空事 -remota- 第7話「金の月」

声のする方を見れば、幽かな姿ではありましたが、確かに銀翅の姿が見えました。 「君の怒りは…

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絵空事 -remota- 第8話「銀の月」

「――ほぅか。…あんたら、うちに楯突いたらどうなるか、解ってるんやろうな…?」 『黙れ、…

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絵空事 -remota- 第9話「風車」

十六夜は、赤子を山に連れ帰り、木の実を砕いたものなどを与えて育てました。 時折、僅かに残…

絵空事 -remota- 第10話「宵の月」

遙が家に帰り着いたのは、ちょうど夕暮れ時のことでした。 「…おかえり。随分遅かったなぁ。…

絵空事 -remota- 第11話「風車と翅」

一夜明け、昼を少し過ぎた頃に、遙はまたしても、銀翅のもとへ向かいました。 「やあ、また来…

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絵空事 -remota- 第12話「風車と月」

「ああ、遙。おかえり。…あんた、また泥だらけになって…。」 「おけがはしてないから、だい…

絵空事 -remota- 第13話「星空」

十六夜は、ひとり歩いて其処へ向かいます。 着くと、少し躊躇うような素振りを見せましたが、戸をがらりと開いて、室内を見渡しました。 「…………。」 十六夜は無言のまま、感情のない表情で銀翅の亡骸をみとめると、音もなく傍らに座りました。 ――…あんた、まだおったんやなぁ…。 応える声はありません。 十六夜は、少し落胆したかのように溜息をつき、銀翅の亡骸から目を引き剥がすと、外の夜空へと目をやりました。 星の輝きは、雲を通しているせいか僅かに霞んでいます。――気付けばまたして