絵空事 -leve- 第12話「暗涙」
――それから過ぎていく穏やかな日々に、銀翅もやがて少しずつ、飽きてきたようでした。
それを見計らったように、十六夜は時折、遙や玄鋼のみならず、蓮華をも山に招きました。
無論、彼らが村に帰る時には、彼らの過ごした穏やかな時の記憶は削除されてしまいます。
互いに喜びあう再会であることから完全に削除するのは難しく、十六夜はそれを夢としてぼかす事で、宵の夢としたのでした……。
銀翅の姿が見違えるほどに老いた頃には、若き日の自身に似せた式神に『遣い』の役割をさせました。
――『遣い