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世界の山ちゃん「幻の手羽先」の正体を5分で想像した

出張の日。
電車の窓から、ふと目にした「世界の山ちゃん」の看板。

幾度となく目にしたことはあるはずだが、なぜか、この一文に気づいていなかった。

今夜も幻の手羽先が呼んでいる!

どういう意味?
なに、世界の山ちゃんで出している手羽先はなの?
触れようとしても触れられない幻影?

「お待たせしました、幻の手羽先で~す」
「おー、来た来た!いただきまーす!」
と、喜び勇んでつかもうとするも、つかめない。
まるでホログラムのごとく、指が手羽先を通り抜ける。

え、なんだこれ、どういうことだ?これは夢か?
状況を理解する間も与えず、消えゆくビールの泡とシンクロするかのように手羽先の色彩は薄まり、やがて虚無となる…

「お会計2,980円になりま~す」
ふざけるな!

幻だったらそうなるよなあ。
「砂漠で迷って餓死寸前、オアシスを見つけた!と思ったら蜃気楼だった…」
と同じ展開じゃないか。砂漠行ったことないけど。
もしかして、世界の山ちゃんは臨死体験を味わえるコンセプト居酒屋なのだろうか。

…いや、違う。
よく考えてみよう。

今夜も幻の手羽先が呼んでいる!

呼んでいる、というからには、幻の手羽先は人語を操れるのだ。どう考えても普通の手羽先ではない。
ということは…

わかった!
お店で出している手羽先と、「幻の手羽先」はなんだ!
別人ならぬ別手羽だ!

つまり、お店ではちゃんと手でつかめるし歯ごたえもあっておいしい、実体のある手羽先を出しているのだ。なに当たり前のこと説明させてんだ。
で、問題の「幻の手羽先」は目に見えない妖精みたいな存在で、看板の山ちゃんの目元あたりにふわふわ浮かんでるの。

そんで、店の前を会社帰りのおじさんが通りかかったら、

(…きこえますか…きこえますか…いま、あなたの心に直接よびかけています…世界の山ちゃんで…呑むのです…おうちの冷蔵庫に入ってる…イカの塩辛は…あと一週間は…もちます…あわてて食べる必要はありません…世界の山ちゃんで…呑むのです…)

はたまた、店の前を足早なハイヒールの女性が通りかかったら、

(…きこえますか…きこえますか…いま、あなたの心に直接よびかけています…世界の山ちゃんで…呑むのです…今夜10時からのドラマは…Paraviで…見逃し配信されます…間に合わなくても死にません…世界の山ちゃんで…呑むのです…)

な、何事っ!?と思って見上げると、そこには

今夜も幻の手羽先が呼んでいる!

そうか、私を呼んでいたのは、幻の手羽先だったのか!

…と、お客さんに気づいてもらうために、看板に書いているのだ。
そうじゃないと、通行人が「ど、どこからか声が聞こえる!働きすぎてついに幻聴が?」ってパニックになっちゃうから。
「大丈夫、幻の手羽先だよ。」との親切心である。

そして、手羽先のイケボを聞いて安心した通行人は、招き猫に導かれるかのように山ちゃんに吸い込まれてゆく…山ちゃん沼の住人がまたひとり…
なるほど、そういうことか。


以上、看板を見てから5分ぐらいで考えた話でした。もうね、居酒屋行ったらこんな話ばっかりずっとしてたい。
ちなみに「幻の手羽先」の正しい由来が気になる方は、以下の記事が参考になりますよ。

最後までお読み頂き、ありがとうございました!

※Top画像はフリー素材の手羽先です。たぶん、世界の山ちゃんの手羽先ではないです。


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