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第一回 お月見漢字選手権

月は日本人の生活に欠かせない。
夜空を見上げる習慣がなくとも、誰もが日常的に月を見ているはずだ。

漢字の中で。


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漢字辞典ONLINEによると、「月」を部首に持つ漢字が1,375字もあるという。お月様は漢字界でも引っ張りだこである。

しかし、ずらりと並んだ漢字を見ていると、どうしても気になるのだ。


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月が左端に追いやられていたり。


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他の部首の下敷きにされていたり。

なんだか、お月様を粗末に扱っている漢字が目につく。

やつらは一体何を見て育ったんだろうか。お月様は空に浮かんでいるんだ。団子を片手に夜空を見上げてこそお月見だ。


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だから、お月様が漢字に降臨されたなら、上の方におわすべきである。居酒屋と同じように漢字にも上座、下座があるのだ。
すみっこに押しのけたり踏んづけたりするのは、お月様への冒涜にほかならない。

では、最も正しくお月様を敬い、他の漢字の模範となる漢字は何か?
それを決めるべく、

第一回 お月見漢字選手権

の開会を宣言する!

エントリーした漢字は、先ほど「月」でヒットした1,375字すべてである。
エントリーした覚えがないとは言わせない。月が入ってたら問答無用でエントリーだ。

さっそく審査を始めよう。


エントリーNo.1

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[せ]

しょっぱなからやってくれたな。
月を腰掛けにしているどころか、絶対に月がのぼらないを向いている。まさしくお月様にいているかっこうだ。
選手権参加者としての自覚はあるのか?


エントリーNo.2

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[はら]

背がダメならときたか。しかしこれとて、右側が幅を取りすぎだ。
運動不足でたまりにたまったコレステロールの陰で、肩身の狭そうなお月様。バーベキューに無理やりさそわれた陰キャのように居心地悪そうじゃないか。

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これぐらいダイエットしなさい。


エントリーNo.3

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[きん]

なぜかやぶに入れられたお月様。
かたわらには「力」、すなわちボディービルダーが控えている。

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うなるエキスパンダー、高鳴るシックスパック、のどをうるおすプロテイン。
おそらく夜中のトレーニング中で、お月様をサンドバッグにする気だろう。ひどい。
人権、いや星権をなんだと思っているんだ。


エントリーNo.4

削

[けずる]

論外。

削2

なんだその右手に持ったは。お月様に刀を突きつけている。高貴なお方に最もしてはならない禁忌を犯したな。
削られるのはお月様ではない、お前の寿命だ。


エントリーNo.5

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[おどす]

帰れ。

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お月様を圧倒的なでねじ伏せている、しかも三人がかりで。いかなる格闘技のルールに照らし合わせても反則だ。
あまつさえ、出来上がった漢字は「おどす」である。おまわりさんこっちです。


敬意をわきまえないアウトローどもに翻弄されつつも、地道に審査を続ける。
すると、すばらしく品行方正な漢字が一字、また一字と現れはじめたのだ…!


お待たせしました。
ここからは上位に入賞したお月見漢字を紹介していこう。まずは第三位から!


第三位

望

[のぞみ]

これだ。これを待っていたんだ。
天下を統べるがゆったりと月を眺めている。そのまま古代中国の絵画にもなりそうな風景だ。

望2

だがどうしたことか、左上に浮かぶ者が心をざわつかせる。
お盆にあの世からやって来て、帰りの便を予約し忘れたんだろうか。

心霊写真のような不気味さが命取りだったが、第三位と健闘した「望」であった。


第二位

ロウ

ん?なんて読むの?

調べたところ「ロウ」と読む、日本語ではあまり使われない漢字らしい。
それはともかくこの造形、見事ではないだろうか。

ロウ2

大地に立つ雄大な
左上にある良っぽいやつがなんとなく少年に見えたので、木に登って天体観測している姿をイメージしてみた。
アメリカ映画のオープニングにありそうな光景である。10分後ぐらいに月からやって来た未知の生命体に話しかけられるにちがいない。

ほほえましくもある「㮾」だが、惜しむらくは「読めない」ことである。見たことないもん。
熟語にも人名にも登場しない激レアキャラがアダとなり、今回は第二位に甘んじることとなった。
ぜひ次回までに、日常生活への浸透を目指してもらいたい。

そして!


第一位

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[めい]

完璧である。どこに出しても恥ずかしくないお月見漢字だ。
さあ、大きなおを出してお月見を楽しもう。
文字にこそ表れてはいないが、きっとおいしいお団子が山盛りに違いない。

そして極めつけは、左上に輝く「日」、つまり太陽である。

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太陽と月の共演。そう、これは昼の月なのだ。
お月見が夜のイベントだと誰が決めただろうか?

最大限にお月様をたっとび、「昼のお月見」という新しいスタイルを提案した「盟」こそ、お月見漢字界の主にふさわしい!

おめでとうございます!


こうして、第一回 お月見漢字選手権は幕を閉じた。
はたして第二回までに、「盟」を上回るお月見っぷりを見せつける漢字は現れるのか?
期待しながら名月を眺めよう。



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