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【CS優勝】バーン抜き アグロナイトメア【エボルヴ 黒銀のバハムート 環境】

挨拶

はじめまして。1ro(いちろー)です。
(Twitter:@1roTK)

以前より世の中に出回っているアグロナイトメアのデッキリストを回していて色々と考えることがあったので、
自分なりのアプローチを考え、思考の整理のためにメモを書いていました。

この度ダリアCSで優勝できたので、メモを元に記事を書き上げ公開することに決めました。

以下が優勝時のデッキリストです。
(自分とダリアCSのTwitterで公開済みです。)

見てわかる通り、現在世に出回っているデッキリストで殆ど採用されている《鋭利な一裂き》《デモンストライク》《ファントムハウル》の3種のバーンが1枚も入っていません。

※バーン:
カード効果によるプレイヤーへの直接ダメージ、又はその効果を持つカード。

優勝後、色々な方から「3種のバーン抜きのデッキリストで打点足りるはずがない(意訳)」と言われましたが、
足りているから勝っていますし、3種のバーンが入っているせいで打点が足りなくなるとさえ考えています。

以下戦績です

(自先:じゃんけんに勝ち先攻を選択)
予選
⚪︎自後 Nアグロ
⚪︎自先 W秘術ドロシー
⚪︎自先 Dディスカード
⚪︎自先 Dディスカードランプ
⚪︎相後 Dディスカードランプ
1位通過
本戦
⚪︎相後 Nアグロ
⚪︎相後 Dディスカードランプ
⚪︎相先 Dディスカードランプ

現在一番流行っているディスカードドラゴンに5-0、アグロナイトメア(ミラー)に後攻2回で2-0、秘術ウィッチに1-0で全勝(8-0)で優勝しました。

筆者は今までエボルヴの大会にほとんど出ず、リモートで嗜む程度でしたので、皆さんより経験が少ないかもしれません。

ですが、アプリ版シャドウバースであればリリース開始から6年間続けて13000勝以上プレイしています。
RAGE(大型大会)でプレーオフに出場経験があり、直近のRAGEでもday2に進出し《竜の託宣》プロモを手に入れています。

ですので、アプリ版シャドウバースを続けてきた知見も交えて、
何かしら与えられるものがあると信じて執筆いたしました。

このデッキリストを回してみて分からない方、回してないけどなぜ勝てるのか気になる方の助けとなるよう、
私の持っている知識や思考を表現可能な限りで執筆しましたので、お時間いただけますと幸いです。

また、以前執筆したサプライに関する記事も置いておきます。
興味のある方は合わせて読んでいただけますと幸いです。
(手に入りやすいのにあまり使われていない珍しいサプライも紹介してます。)

エボルヴ_サプライのすすめ(note)

では解説に移ります。

アグロナイトメアとは

アグロナイトメアについて、どのようなイメージをお持ちでしょうか?

なんとなく序盤は軽量フォロワーを並べて盤面から打点を出し、終盤は疾走やバーンダメージでリーサルを狙うデッキ、というイメージがありませんか?

※リーサル:
直訳すると「死を招く、致死の」
カードゲームでは勝ちになるトドメのターンや行為を指す。

その認識は間違っておらず、アグロナイトメアの理想とする動きです。

しかし、《鋭利な一裂き》《デモンストライク》《ファントムハウル》が入っているようなテンプレのアグロナイトメアには、
理想の動きをすることができない致命的な欠陥を抱えています。


それは再現性です。

「再現性」:学問では同一の実験条件であれば同一の結果が得られる場合、再現性があると表現しますが、
カードゲームでは特定の事象が起こる確率を指します。
カードゲームに限らず、運の絡むゲームとは切って離すことができない要素です。
対人の「読み」という要素もあるものの、デッキ構築において、基本的にはしたい事の「再現性」を追い求めるのが目標となります。

ここから本格的に解説していくにあたり、
以下のルールで執筆していきます。

※カード名に関しまして、《》内に表記します。
※エボルヴ(進化)に関しまして、Eと表記します。
 〈例〉《ケルベロス》EVOLVE (進化) →《ケルベロスE》

※シャドウバースエボルヴの元となったスマホゲーム「シャドウバース」について、アプリ版と表記します。

※アグロナイトメアのテンプレとして、以下のリストを想定します。

ここがおかしいとかあるかも知れないですけど、
一例なので許してください。


では先程のアグロナイトメアのイメージから、性質を2つに分けて整理してみましょう。

1.盤面から打点を稼ぐ
2.疾走やバーンで打点を稼ぐ

どちらも相手の体力を削ることを目的とした行動ですが、これら2つの特性は大きく異なります。
その違いによりアグロナイトメアは再現性に問題を抱えています。
それぞれの観点から整理してみましょう。

1. 盤面から打点を稼ぐ


これは序盤にやりたいことです。

「盤面のフォロワーが1度攻撃できると攻撃力分のダメージを与えることができるんです。」

何を当たり前のことを言ってるんだって話ですが、ここが大事なんです。

1回攻撃できれば攻撃力分のダメージが与えられる。

つまり

2回攻撃できれば攻撃力×2のダメージを与えることができるです。

2回攻撃できるのであれば《ゴブリン》は1コスト4点になりますし、
《吸血鬼・ヴァイトE》は3コスト3点×2、《フォレストバット》2体になります。

どう考えてもコスト以上の働きをしていませんか?

アプリ版では後攻4ターン目からしか進化できませんでしたが、
エボルヴでは更に前のターンに進化できるため、
早いと2ターン目から進化を用いた盤面の有利トレードが発生します。

※有利トレード:例えば自分が3/3のフォロワーで2/2を攻撃した場合、自分の3/1のフォロワーだけが残り、相手は3/1の処理に何かしらのカードを使うことになる。
俗に言う1:2交換(トレード)であり、これを有利トレードと言う。

進化可能なターンが早くなり、軽量フォロワーの活躍できる時間が短くなったからか、
1コストの標準スタッツは1/2→2/2
2コストの標準スタッツは2/2→3/3
に上方修正されています。

スタッツ:フォロワーの攻撃力と体力のこと。またはその合計値。[攻撃力]/[体力]と表現する。
標準(平均、適正)スタッツ:
1ppなら2/2で合計4、2ppなら2/3or3/2ターン目で合計5…を基準に、
同じppで同じスタッツの合計値を持つフォロワーを「標準スタッツ」と表現する。

この上昇したスタッツのフォロワーで複数回攻撃することは、
アプリ版と同じく20点の体力を奪うゲームで、アプリ版以上の破壊力をもたらします。

このデッキでは1,2,3ターンとフォロワーを展開、相手に全て処理を要求し、
処理から漏れたフォロワーで複数回攻撃することでライフを削ります。

相手が1,2,3ターン目で1度でもパスし、いずれかのフォロワーが盤面に残って複数回攻撃できる状態になれば、体力が1桁まですぐに減ります。

この動きを再現するため、アグロナイトメアは1,2,3ターンとパスしてはいけません。

パスすると相手の処理が追いつき、体力が残っている状態で盤面を制圧され、疾走やバーンだけでは足りずに負けるという1番ありがちな負け筋に近づきます。

また、この1,2,3ターンにパスをしないというのは、コストを使い切れば良いというわけではなく、コストを使って盤面にフォロワーを出すという意味です。

《鋭利な一裂き》、《デモンストライク》、《ファントムハウル》の3種のスペルは使ってすぐにダメージを出せますが、盤面には残らないので2回攻撃できませんし、相手に盤面の処理を要求することもできません。

盤面に残るフォロワーはテンプレだと
1コスト9枚、2コスト9枚、3コスト3枚です。(最近だとここから2コストか3コストが計2,3枚増えているリストも見かけます)
このカードを毎試合引いて1,2,3ターンとフォロワーを出し続けることが求められます。

はっきり言って無理です。

テンプレの初手の一例をあげて考えてみましょう。

〈例1〉先攻 相手:ドラゴン
《ゴブリン》
《鋭利な一裂き》
《悪戯なネクロマンサー》
《ケルベロス》
→1.2.3.4ppと綺麗に揃っていますが、
次の2ターン目のドローで2ppフォロワーが引ける確率は約25%で高確率でテンポロスします。
また3ターン目も進化できない《悪戯なネクロマンサー》しか現状ありません。
私ならマリガンします。

〈例2〉後攻 相手:ロイヤル
《ソウルコンバージョン》
《ソウルミニデビル》
《デモンストライク》
《裁きの悪魔》
→1ppフォロワーも2ppでエボルヴ可能なフォロワーも無く、テンポロスするスペルが2枚あります。
私ならマリガンします。

《鋭利な一裂き》、《デモンストライク》、《ファントムハウル》3種を少なくとも8枚入れてるんですから、こんな初手は頻繁にきますし、マリガン後にこんな手札がきたらターン始めのドローで特定のカードを引き続けない限り大体負けてます。

アプリ版と違い1枚や2枚だけマリガンはできないので、アプリ版をプレイされていた方は構築やマナカーブのバランス感覚を修正する必要があります。

大前提として1ターン目にフォロワーを出す場合、
つまり1コストのフォロワーが無ければマリガンすると仮定した場合、
9枚の1コストフォロワーを1ターン目に引ける確率は、先攻90%、後攻93%です。
この数字を見るとなんだかやれそうな気がしてきますが、
あくまでも1コストのフォロワーを1ターン目に引ける確率であり、2,3ターン目のことは度外視です。

2ターン目には1+1、3ターン目には2+1や1+1+1のパターンがあり、エボルヴでもppを埋められること、マリガンのキープ基準等で計算が複雑になる為割愛しますが、体感20%以上の確率で1,2,3ターン目のどこかでパスするか、またはコストが余るので仕方なく盤面にフォロワーが残らないスペルをプレイします。

こんなことをしていると前述の通り相手の処理が追いつき、打点が足りずに負けます。

テンプレのアグロナイトメアを使って序盤にスペルを抱えて事故ったと思ったら、まずは構築を疑ってください。

まとめますと、
「2.疾走やバーンで打点を稼ぐ」の為のカードにデッキの枠を割くことによって、
「1.盤面から打点を稼ぐ」の為のカードの採用枚数が減り、
毎試合序盤に引くことができず、1.の再現性を落とす形になってしまっているということです。

2.疾走やバーンで打点を稼ぐ

先程とは真逆で、これは終盤にやりたいことです。

疾走やバーンはプレイしてすぐにダメージを与えることができるため、相手が勝つより先に自分が勝つという目的において役割を果たします。

極端な例ですが、お互い体力3で先攻のプレイヤーがいくら盤面にフォロワーを並べて処理できないだけの打点を用意しようが、後攻のプレイヤーが3点の疾走かバーンを持っていれば勝ちます。

「じゃあ疾走やバーンって強いじゃん」と思いませんか?

確かに終盤、次の相手のターンに負けるけど、持ってれば相手より先に勝つってシチュエーションでは強いんです。
バーンを引いたから勝ったなんて試合もしょっちゅうあります。

でも疾走やバーンだけでデッキは組めませんし、これらには明確な弱点があります。

それはテンポロスです。

テンポ:
テンポアドバンテージ
テンポロス:テンポ(アドバンテージ)を失う、又は損をすること。

(要するに3ppなら3/4が出せるのに2/3を出しただけなら1/1分損してるってことです。
テンポ絡みのより詳細な説明は表現しようとするとかなり長くなるので各自で調べてください。申し訳ございません。)

特にバーンについて、アグロナイトメアでは《鋭利な一裂き》と《デモンストライク》がそれにあたりますが、
プレイしてもフォロワーが場に残らず
つまり相手はフォロワーを処理する必要がありません。
相手からすればバーンのppで本来出たはずのフォロワーが居ないわけですから、
他に出ているフォロワーを処理すれば盤面は更地になりますし、
バーンを使われた分の余ったPPでフォロワーを出し、顔を殴ることすらできます。
これはテンポロスによる弊害です。

顔:自分または相手のリーダーのこと。
アプリ版では各リーダーキャラクターの顔をめがけて攻撃することから、
「顔を殴る」等と表現する。

前述しましたがフォロワーで複数回殴る方が打点の効率が良く、
自分がバーンで攻めてる間に相手フォロワーに複数回殴られていては、速度で負けてしまいます。アグロを使っているのに本末転倒です。

また、疾走についてナイトメアの場合は少し特殊です。
疾走はアプリ版からずっと強い効果で、標準より少しスタッツが低い変わりに出したターンに攻撃でき、
基本的に攻撃力分のダメージが保証されています。(エボルヴにはクイックがあるのでダメージが通らないこともありますが…)

この「標準より少しスタッツが低い」という点が肝で、
他のクラスではこれに当てはまる疾走が活躍しています

《ノーヴィストルーパー》

標準スタッツは4/3か3/4ですが、このカードは3/3。
テンポをほぼ失わず疾走で打点が出せる凄いカードです。
アプリでは2/2でしたが例に漏れずスタッツが上がって化け物に見えます。
ナイトメアに是非とも欲しいです。

《ダークドラグーン・フォルテ》
標準スタッツは5/4ですがこのカードは5/1(7/3)
1枚で体力の三分の一を削ってくるバカカードです。
このカードのスタッツは標準より0/3も少ないためテンポロスしそうに見えますが、
進化するとオーラが付くためスペル等での処理が難しく、基本的に進化して相打ちの1:1交換を要求できるため、テンポロスをしにくいです。
アプリ版では凄く活躍して1枚制限になったこともあります。

これらのカードは疾走でダメージを与えた後も盤面に残り、相手に処理を要求できることからテンポロスをしにくいですし、ロスしたとしても少なくて済みます。

しかしアグロナイトメアの疾走は主に《ゴースト》であり、盤面に残らない為そのPP分だけテンポロスを生む性質を持ちます。

《ファントムハウル》は相手の4/1等に《ゴースト》を当てることで少しマシになりますが、盤面に何も残らないのでテンポロスしていることに変わりはありません。

《悪戯なネクロマンサー》は4/4のスタッツに3体の《ゴースト》が付いている為、本体が盤面に残ることでテンポロスをしないため例外で、なんならスタンド状態で場に残るため、疾走よりも強いです。

テンポロスについて語りましたが、テンポロスを気にしなくて良い状況があります。
それはリーサルターンとその直前です。

テンポロスをすると何がまずいかというと、相手に盤面を制圧され、その後顔を殴られるからなのですが、
こちらがリーサルを取られないのであれば、その間いくらテンポロスしようが問題ありません。

例えば8ppで《鋭利な一裂き》《デモンストライク》《ファントムハウル》で10点与えたとします。
8ppあれば作れたはずの盤面を放棄することになるので、次の相手のターンには8ppで取り返しのつかない盤面を作られます。
ですが次の相手のターンが来なければその心配はありません。
また、次の相手のターンにどんな盤面を作られようが、さらに次の自分のターンにリーサルを取ってしまえば、相手の盤面に殴られることなく勝つことができます。

このことから疾走とバーンにより盤面のテンポロスをしたとしても、
テンポロスを相手に利用されて負ける前に勝ってしまえばいいという点から、
リーサルターン直前の終盤に強いということになります。

逆に序盤に使うとテンポロスを相手に利用されて負けてしまうわけです。

問題へのアプローチ

「1.盤面から打点を稼ぐ」で話した通り軽量フォロワーは、
序盤に強い
「2.疾走やバーンで打点を稼ぐ」で話した通り、疾走やバーンは
序盤に弱い、終盤に強い

ここで何かに気づきませんか?


軽量フォロワーは終盤に弱いんじゃないかって思いませんでしたか?

そんなことはないんです。
前述した通り、軽量フォロワーのスタッツはアプリ版から上がっています。
例えば
1ppフォロワー2体なら2/2+2/2=4/4で
2ppフォロワー1体の3/2より大きいですし、

2ppフォロワー2体なら3/2+2/3=5/5で
4ppフォロワー1体の4/5より大きいです。

※2ppは3/3、4ppは5/5が居ますが数が少ないので考慮していません。

勿論、
勿論軽量を2枚出す分、重量を1枚出すより手札を1枚多く使うことや、
全体に3点ダメージで4pp4/5は場に残るのに2pg3/2と2/3は両方破壊されること等、
スタッツの合計値だけでは比較できません。

ですが軽量フォロワーを組み合わせることで、
合計コストが同じフォロワーと比較できるだけのスペックがあることは理解できたのではないでしょうか。

もう一度整理してみましょう。

「1.盤面から打点を稼ぐ」で話した通り軽量フォロワーは、
序盤に強い、終盤に弱くはない
「2.疾走やバーンで打点を稼ぐ」で話した通り、疾走やバーンは
序盤に弱い、終盤に強い

ここから導き出されるのは
「2.(疾走やバーン)を減らして1.(軽量フォロワー)を増やす」です。

1.(軽量フォロワー)は序盤から終盤まで強く使えるため、何回もプレイすることから枚数を増やすのは理解いただけると思います。

ですが本当に大丈夫でしょうか。

小型フォロワーを並べただけで勝てるならアグロエルフとかアグロロイヤルとかも流行りそうですが、現実はそうはなっていません。

ナイトメアの軽量フォロワーが他クラスに比べて優秀なのは間違い無いですが、
やはり2.(疾走やバーン)の豊富さがナイトメアの長所であり、
これが無ければアグロナイトメアである必要はありません。

でも「2.(疾走やバーン)を減らして1.(軽量フォロワー)を増やす」と言いました。

これだけでは矛盾しているように見えますが、それを解決するカードたちがナイトメアにはいます。

それがこの2枚(3枚)です。

《トリックデュラハン》
《レッサーマミー》
《レッサーマミーE》

これらのカードは1.(軽量フォロワー)の役割と2.(疾走やバーン)の役割の一部を果たします。

《トリックデュラハン》はネクロチャージ10でやっと5pp3点で、ダメージだけ見るなら3ppの《ファントムハウル》に及ばず、2ppの《鋭利な一裂き》と同じダメージしか出ません。

《レッサーマミー》はネクロチャージ10で進化権を使ってやっと《ファントムハウル》と同じ3ppで4点出すことができます。

ですので、PPあたりの打点やネクロチャージ10の条件を見れば、共に《鋭利な一裂き》《デモンストライク》《ファントムハウル》より弱く見えます。

ですが問題ありません。

PPあたりの打点について、
相手の体力が3点なら2ppでも5ppでも3点出せば勝ちです。
相手の体力が6点なら2ターンかけて削ることができれば勝ちです。
たとえ効率が悪くても、相手に倒される前に自分が倒せるだけの打点を出せれば勝ちは勝ちです。

ネクロチャージ10については終盤にならないと使えませんが、
《鋭利な一裂き》《デモンストライク》《ファントムハウル》も終盤まで弱いので、そこまで大きな差、ではありません。

ここまでデメリットは小さいと書きましたが、勿論メリットがないと採用しません。

そのメリットとは、
《トリックデュラハン》には2pp3/2、《レッサーマミー》には2pp2/2(3/3)の
スタッツがついてくる、
つまり序盤にも強く使うことができる軽量フォロワーである点です。

「2.(疾走やバーン)を減らして1.(軽量フォロワー)を増やす」
「2.(疾走やバーン)がナイトメアの長所」

この2つの矛盾を

《トリックデュラハン》や《レッサーマミー》といった
「2.(疾走やバーン)の役割を果たせる1.(軽量フォロワー)を増やす」

ことで解決しました。

これにより「序盤は軽量フォロワーを並べ盤面から打点を出し、終盤は疾走やバーンダメージでリーサルを狙う」という、アグロナイトメアの理想の再現性を上げることに成功しました。

文章でひたすら説明したので、最後におさらいも兼ねて、バーン抜きとテンプレのバーン入りをグラフで比較してみましょう。

ターンが経過するにつれて右へ
ダメージが増えるにつれて上へ

グラフからそれぞれの線を見ていきましょう。
A.
序盤から終盤まで常にフォロワーで打点を稼ぎ、リーサルに到達しました。
この線を基準として他の線を見ていきます。
B.
序盤の①の時点で下ブレたり、複数除去を受けるなどして同じフォロワーが複数回攻撃できなくなった場合、A.より失速します。
ですがエボルヴフォロワーが多い為、盤面を取り返すことができ、最終的にはA.より遅れながらもリーサルに届いています。
C.
バーン入りにも関わらず、バーン抜きと同じペースで序盤から都合よくフォロワーを並べられた場合、同じ速度でダメージを与えることができ、終盤の③で都合よく引いていたバーンを撃つことで瞬間的に打点が出て、④でA.よりも早くリーサルに到達しています。
D.
序盤の①の時点で下ブレてバーンを撃ち、②まで瞬間的にダメージが出ますが、その後テンポを失い盤面から打点が入らなくなり失速します。
①の時点で致命的なテンポロスをし、エボルヴフォロワーも限られているため、盤面は取り返せず、リーサルに届きませんでした。

実際はこんなに単純な直前でダメージレースが進むわけではありませんが、伝えたかったことを以下にまとめます。

・バーン抜きはテンポロスしにくく、しても差が小さい。
・バーン入りは序盤中盤にバーンを撃つと大幅に失速するデメリットを抱えている。
・都合よくカードを引くとバーン抜きよりバーン入りの方が先にリーサルに到達する。
・しかし、バーン入りとバーン抜きの差は小さく、その間に相手にリーサルを取られるか回復される等されない限り、速度は違えどリーサルに到達する。

視覚的なグラフで補足しようと試みましたが、理解できましたでしょうか?

長くなりましたが今回のテンプレとは違ったアグロナイトメアの生い立ちは以上です。

ここまで文字数を割いたのは今後同じ過ちをしないためです。
アグロデッキは形を変えて今後も環境に出てくると思いますが、
ここに書いたことを思い返していただければ、デッキ構築の助けになるかと思います。
テンプレだろうが、回してみて違和感があったら疑いましょう。
今回のように解決の手段があるかもしれません。

バーン抜きの今後について(2022/08/16追記)

このデッキリスト、記事を公開してから多くの方に見ていただき、他の方がCSで優勝、入賞した報告をいただいています。

筆者にとっては喜ばしいことですが、対戦する際デッキリストがバレているというのは大きなデメリットです。
GP福岡で使用した際も、対戦相手の何名かが記事の読者でデッキリストがバレており、それに基づいてプレイされて苦戦しました。

今後のメタゲームに応じて細部を変更していく必要があり、バーン抜きの解説をしてきましたが、バーンを入れることも視野に入れなければなりません。

メタ(ゲーム)についての補足資料

メタ(ゲーム):
全体の環境、流行を指す。
プレイヤーはこれを予想し、勝つ為にどのデッキの立ち位置が良いか考えてデッキを持ち込む。
(理想は全員が勝つ事を想定して勝率の高いデッキ選択を行うことだが、人それぞれ色々あるため、中々理想にはならない。)

トップメタ:
使用率の高いAを指す。1つと限られているわけではなく、BやC…と使用率によっては複数を指す場合もある。

メタが回る:
メタゲームが移り変わっていくこと。
Aが1番多いと、Aに強いCが流行り、Cが増えるとCに強いBが流行り、Bが増えるとBに強いAが流行り…と、どんどんメタゲームが変わっていく。
これを「メタが回る」と表現します。

AからCに変わることを「メタが1つ(1段回)回る」、
AからC、CからB、BからA、と元から流行っていたAがまた流行ることを「メタが1周する」と表現します。

GP京都 スペル抜きナイトメア
(2022/09/16追記)

環境の変化に合わせて、バーン抜きアグロナイトメアを元に調整を進めた結果、《ソウルコンバージョン》が抜けてスペル抜きアグロナイトメアになりました。
以下の記事で解説していますので、合わせて読んでいただけますと幸いです。

【GP京都ベスト8】スペル抜きアグロナイトメア(note)

中間地点

以上が、無料部分になります。
無料部分では構築について中心に解説してきましたが、
この先は採用、不採用カードの解説に加えて各対面のプレイ方針等、より実践的なプレイングの話についても解説していきます。
調整が進み次第、分かることがありましたら有料部分に追記する予定です。(メタの変動に合わせて構築やプレイ方針が変わればそれらも追記予定です。)

このデッキを使う方は勿論、相手にされる方にも役立つよう執筆いたしましたので、ご購入いただけますと幸いです。

購入者に限り質問等あれば、
TwitterのDMに購入したことが分かる画面の画像を添えて質問いただければ、可能な限り回答させていただきます。
また、購入者に限らず感想などいただけたら励みになります。

ここまでご清覧いただきありがとうございました。

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