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さよなら5月の冷たい風

30を超える空の下を歩いて、無料の文字が書かれた箱を見つめる。5月半ばの生ぬるい風、首筋を微かに伝う汗があった。

2月、就職が決まってバイトをやめた先輩の言葉を思い出す。

好きなブランドを好きなままでいれてよかったです。

好きなものを好きでい続けることは自分だけの力ではきっと出来ないんだろう。外的要因があって嫌になってしまうことが幾つもあると思う。

些細な言い合い、互いの足の引っ張り合い、意地の張り合い。好きだったはずの人を嫌いにならざるを得ない日がついに来てしまった。

お互い様、自分のことを話したがる私たちだったから、互いのことも周りに話したくなってしまったんだろう。

いつかこの日が来るとは思っていたけど、卒業するまでは友達でいたかった。もう少し、私が耐えれたら。

でももう、あの日救ってくれた音楽も、何度も頼った言葉も、何も響かなくなってしまったんだ。
勇気の素になっていた先輩の言葉はもう見返すことも無くなっていた。あの日君が言ってくれた言葉はもう嘘になってしまっていた。私が信じ続けていたものはもう信じれるものではなくなってしまっていた。

ああ、儚いね、切ないね、好きだったものを嫌いになる瞬間が、好きだったものが嫌いになって終わりを迎えてしまう空間が、

でももうさよならをしないといけないね。5月の君に、

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