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4/28ト書き

女は二階に上がるとすぐに裸になり(白いシャツ、ズボン、エプロンを脱ぎ、ブラジャー、ショーツを脱ぐ)吸いさしのまま放置していた煙草に火をつける。灰皿が置かれている台の上、その下の床には灰が散らばっている。頭上には洗濯物が干されていて、時々女の頭に触れる。女は煙草を吸い終わり火を消すと隣の部屋に移動し、ベッドの上に置かれている畳まれた洗濯物、チョコレート菓子の袋、領収書などを隅に寄せ、ほんのわずかな隙間を作りそこに寝そべる。ベッドには毛布が敷かれていて、裸のまま寝ると柔らかい温もりが直接感じられる。うつ伏せの姿勢で肘を立て、ノートパソコンを広げる、時刻は18:11の表示、この後の予定までの間、少し寝ようか、部屋を片付けようか、頭に思い浮かべる。混乱した頭の中のように部屋も散らかっている。こんなにも物が溢れていることに嫌気が差し、近々物を整理して捨てようと思っている。捨てるべきものは何か。もう着ない衣類がまず思い浮かぶ。本は読まないものは古本屋に持っていき、作品は粗大ゴミで処理しよう。エレキギターとアンプ、フォークギターは残し、ノート類は処分。いくつもある帽子は選別して捨てるべきものを選ぶ。段ボールいくつぶんになるのか、荷物をまとめて、引っ越す先が決まれば寝袋だけを残してこの部屋を出るだろう。この部屋と次の部屋、2つの部屋を行き来する合間の時間のために、完全に契約が切れる日まで寝ることができるように、寝袋を置いていく。今使っているベッドも処分したい。新しく買える余裕があるかは微妙だが、カメラを売れば買えるかもしれないと女は思っている。確定申告の書類を捨ててしまいたいが、5年間保管しなければならない、という決まり事をちゃんと女は守る。書類の段ボールはそのまま持っていくことになるだろう。今使っているテーブルも処分したい。大きさが微妙で使いにくかったこのテーブルに未練はない。冷蔵庫は持っていくが電子レンジは処分しよう。IHクッキングヒーターは壊れかけているからもういらない。使いかけのままどんどん増えていく化粧品はゴミ、文具も必要最小限にして、使わないものは工房に置いていこう。

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