天使のかえり

楽しいことのそのあとに
悲しいこと、辛いことがあるのはなぜ?

無意識の意識で、わたし、いつも誰かに問いかけていた

ある日
どうしても悲しくて、悲しい絵を描いた
口を閉ざした灰色の女の子を

だけど突然、俯く少女の周りに、光を描きたくなった
わたしは光を描いた
青で、黄色で、ピンクで、緑で、
するとその光の隙間に、何かが隠れていることに気がついた

見つめてみた

真っ白な天使だった
そして天使はわたしにそっと語り始めたのだった


君にも、君のお父さんにも、君の友達にも、君のお父さんの友達にも、
アメリカ人にも、中国人にも、犬にも、猫にも、うさぎにも、蚊にも、
ひとりひとりに、天使がついているんだ

天使のしごとはたくさんあるけど
いちばん大切なしごとが、

「祈りを届けること」
なんだ

天使は少しの間
君のそばを離れ、遠くにいる神さまのところまで飛ぶんだ

君の祈りを届けるために

その間、君は悲しい思いをしたり、辛いことがあっても、
天使がそばに居ないから、不安を感じたり、寂しい思いをしたりするんだ

でもね
天使は必ずかえってくる

ときどき道に迷ったり
疲れて飛べなくなることもある
だけど天使はかえってくる
最高のおみやげを持って

そうです
神さまからのプレゼントを


だからどうか
どんなに辛いことがあったとしても、必ず天使の帰りを待っていて
必ず帰るから待っていて

だってね

天使の一番大きなしごとは、
君を神さまのところへ連れて行くことなんだ

なのに、もし君が、天使のかえりを待たずに、
辛さに負けて死んでしまったら、
君を神さまのところまで連れて行ってあげられる者が誰もいないんだ

君は天国に逝けないんだ


約束するよ
君の命が尽きるとき、
天使は必ずそばにいると

だからどうか、生きるんだ
神さまは、君の祈りを受け止めてくれるから、

天使は必ずかえるから


わたしは再び絵筆をとって、
少女の目を描き直した
少女の口を描き直した
光を受けて眩しそうにそばめた目に、
大きな口で、笑う少女に、、、

「わたしの天使はおしゃべりね」

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