わずかばかりの運の悪さをうらんだりして
母は子供の頃、一度だけお父さんに漫画雑誌を買ってもらったことがある。
それは電車に乗って遠くの街に旅行に出かける時だった。
はじめて買ってもらった漫画雑誌。
母は嬉しくて、電車の窓から顔を出して漫画を読もうとして、外に落としてしまった。
それ以来2度と漫画雑誌を買ってもらえることはなかったという。
だからわたしは、なかよしもりぼんもちゃおも買ってもらえたし、
お兄ちゃんはジャンプもコロコロコミックも買ってもらえた。
お母さんは、自分が欲しかったものはなんでも子供にあげたかったんだと思う。
お母さんは、一番好きな人とは結婚できなかった、お父さんに婿養子しか取らないって反対されて、相手の人が長男やったからあかんかって、、、子供もできたのに、、、、妹は、妹は好きな人と結婚して、好きなように生きて、わたしは長女やからそうはいかんかった、だからわたしは、どんな相手でも絶対に反対しないって言って、
実際、兄が結婚したいと連れてきたお嫁さんに3歳の女の子が一緒についてきた時も、すごく喜んだ。
いっぺんに孫もできたって、すごく喜んだ。
わたしが初めて付き合ったKさんに奥さんと子供がいることがわかって、そのあとわたしも妊娠したかもしれないっていう時があって、その時も大変やけど産んだらいいって言った。
お母さんはひなちゃんが欲しがるものはなんでも買ってあげたし、ひなちゃんが、血が繋がってるのはお母さんだけ、って言って、ゆきは?って聞いたら、ゆきは違うっていうから、ひさちゃんのおばあちゃんは?って聞いたら、ひさちゃんも違う、お母さんだけやって言ってて、笑った。
お母さんは血が繋がってなくてもひなちゃんが大事だから、お母さんに誰か赤ちゃんをあげてくれたらいいのに。
そしたらまた、お母さん、げんきになるかもしれない。
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CHEERZの投稿企画#読書と女子で不採用になったあと、悔しさ余って消してしまったのですが、加筆して構成もし直してここで供養します。
撮影 みやちょん ありがとう。
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