JOKER感想文

JOKERを見てきました。
今年は話題になった映画は一通り見てきたんですが、これに関してはどれとも一線を画する異常さがあり、またその危うさが普段アメコミ系の映画を見ないような人々までをも惹きつけて一大ブームになっているんだろうなと簡単に類推できる作りでした。

なお一切のネタバレに配慮しないスタイルなので、未視聴の方はお気をつけください。

わたしは一切DC界隈の映画を見たことがないんですが、ちゃんと過去作品へと繋がる(または見たくなる)作りになっていて、こりゃバッドマンも見た方がもっと面白いんですよね?(自信がなくて問うスタイル)
作品によって「JOKER」の解釈が異なる為にこの作品はこの作品でのみ評価したほうがいいとフォロワーさんから助言をいただいているかつ、本当にこれだけしか見ていないのでこの作品のみでの言及になりますが、何卒素人の感想としてご賞味いただければ幸いです。

あらすじは割愛しますが、貧困vs富裕の構図が現実に即しすぎていてそこがいろんな意味で共感を呼んだ作品なのかなと思いました。
主人公が圧倒的な社会的弱者、精神的に不安定な部分があり、なおかつ病気ないし障害で突然笑いだしてしまう不気味さを抱えています。
それが故に、世間から煙たがられ、虐げられる姿が延々と続きます。それはもうしつこいほどに。
だけど、そのシーンはどこか隣で行われているようなリアリティがあります。
殴る蹴るといった肉体的な暴力のみならず、言葉による精神的な暴力。
延々と続くような地獄に、アーサーはひたすら耐え忍ぶわけです。
だけど、それはあるきっかけを元に覚醒していくんです。
地下鉄で三人のサラリーマンに絡まれるアーサーが、その三人を手渡された銃で一気に殺していく瞬間。
あのシーンは、本当作品として最高のカタルシスを感じてしまう作りでした。
世の中、権力や自分の上位者(と書くと変な気もしますが)に反逆していく作品には溢れていますが、本当その最上級を得た気持ちにもなります(だからこそ前半部分が死ぬほどしんどいんですが)
あと頭の悪い感想にもなるんですが、階段のシーンマジでサイコーでした。本当あんな良いシーンなかなかない。
(でもあの後の展開はちょっと笑っちゃった)

「自分の人生は自分で切り開く」を完全に悪に振り切るとああなるんですよ、という模範解答でした。ただその一方で、日本にもこういう犯罪者おるおる…………と頭によぎりました。

そして、JOKERで外せないのが音楽です。
アーサーが自分の人生を悲劇だと思っている間はチェロやコントラバスの重たい音なのに、喜劇に転じた瞬間華やかになっていき、あの暗鬱たる悲劇から喜劇へと転じていくんですよ。
あとあれは単純なヴィラン物ではないように感じました。
下手すると、ダークヒーロー物とも観れる作りなのがヤバい。だから全米は厳戒態勢になったのだとも察します。
自分たちを貧困や閉塞感から救ってくれるヒーロー、と書けばまあ間違いなく今どこの発達しすぎた世界で求められている虚像なんでしょうな…………。

あとJOKERを見終わった後に「なぜ私はヒーロー物よりダークヒーロー物が好きか」と自問自答したんですが、ダークヒーローに惹かれる理由、「ヒーローになるより断然堕ち易いから」かな……とか考えてしまいました。
悲しいまでに共感しやすいんだよなあ。


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