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ニューヨーク旅行記 ヤンキースタジアム観戦記 後編

さて、いよいよ試合が開始した。後攻のヤンキースの選手が守備につくだけで大歓声が起こる。

野球は基本的に、ホームチームは裏側の攻撃で、ビジターチームは表の攻撃なので、最初に攻撃するのはビジターチームのレイズだ。


MLBでは、日本のように音楽に合わせて手拍子をしたり、声を揃えて応援するスタイルは無い。声を出して応援する時はあるが、基本個々で自由に声を出して、思い思いのスタイルで声援をするのがメジャー式である。

そのため、基本試合中は静かな雰囲気なので、試合に集中したいなら最高の環境だ。

時々、オルガンの音を使用して球場を盛り上げる演出が行われたりと、全ての年齢の人が試合を楽しめるように工夫がされている。




しかしこの写真を見てもわかるが、MLBの球場は天然芝が本当に綺麗である。

日本の場合は、天然芝を一年中良い状態にするのが難しい関係か、こうしたスタイルの球場は楽天生命パーク宮城、広島のマツダスタジアム、ほっともっとフィールド神戸くらいである。


天然芝は、地面が柔らかいのでプレーする選手の足腰にも優しい。
個人的には、選手にも優しく見た目も美しい天然芝の球場が日本でも増えてほしいと思っているのだが。


球場を歩く売り子のおじさん



個人的に思い出深かったのは、売り子のおじさんである。

僕は他人に、
「日米の野球の最大の違いは何か?」

とたずねられたら、真っ先に売り子の人という。

日本の場合、スタンドを歩きながらビールを販売しているのは、大抵若くて綺麗なアルバイトの女子大生である。

彼女達は、背中に大きな樽を背負ってそこから冷たいビールを注ぐ、それが日本の球場の売り子だと日本人の間では認識されている。


しかし、アメリカは違う。



アメリカでもスタンドを歩いて物を売る人はいるが、それはほとんどが男性で、しかも高齢の人がほとんどだった。

僕の憶測だが、横を通りかかったおじさんは、確実に還暦をこえた人だった。

アメリカでは、売り子に年齢、性別の条件は無いのかもしれない。


さらに驚いたのは、彼らの売っているビールである。



なんと予めカップに注いだビールを箱に入れて、そのまま販売するという日本では考えられないスタイルであった。

実は以前、スイスでサッカーを見に行った際も、同じような販売の仕方だったのを覚えている。もしかしたら、向こうの人はビールの泡が好きでは無いのかもしれない。




MLBで代表的な食事はホットドッグとポップコーンだ。そしてこのポップコーン売りがまた芸達者な売り子である。

注文が入ると、売り子の男性は周囲にいる観客を煽り始める。そして購入者に対しそのポップコーンを投げたのだ。

それを購入者がキャッチすると、周りから大歓声が起こる。受けっとった人は恥ずかしがりながらも手を振ってそれに答える。という感じで商品を売るだけでなく、同時に観客を楽しませるエンターテイナーでもあるのだ。

さすがアメリカ、こういったパフォーマンスは本当に上手い。

僕もやりたかったが、なんだか恥ずかしくて声をかけれなかった。今になって思えばやっとけば良かったと後悔している。

ヤンキースの応援スタイル




2階の裏ヤンキースの攻撃。8番バッターがホームランを打った。

球場全体を大歓声が球場を包む。

その後、ライト側外野席の方から「Let`s go yankees!!」という声援が聞こえてきた。

ヤンキースの熱狂的ファンは外野のライト側に陣取っていて、ちょっと雰囲気が独特である。
相手チームのホームランがそこに飛び込んだ際には、思いっきりグラウンドに向かって投げ返すこともよくある。

ちなみに、安易に物を投げると警察の厄介になるので、本当はやってはいけないことなのだが。


マウンド近辺まで移動してみた



6回の裏あたりまでは、自分自身の席で試合を見ていたのだが、さすがにずっと同じ位置で座っているのは疲れてきた。

なので、席を移動し、スタンド下段のコンコースに立って試合を観戦してみる。


写真で見てもわかるように、間近でパッターボックスを見るのはかなりの迫力である。緊張感がここからでもよく伝わってきて、世界一のMLBの素晴らしさを肌で体感することができた。



そして、ヤンキース3点リードの9回表、マウンドにはクローザーのチャップマン投手が上がった。

このピッチャーの球速は、とにかく早いことで有名で、160キロ近いストレートを軽々と放ってくる。僕もその球威が気になっていたので、最終回はこの場所で立ちながら観戦することにした。(本当は試合が終わって早く球場から出たいのが理由だが)

予想通り、ストレートのスピードは半端なく早かった。あっさりとレイズ打線を抑えて試合終了。

ヤンキースが4対1で勝利を手にした。



ヤンキースタジアムでは試合後、フランク・シナトラの名曲「ニューヨーク・ニューヨーク」が流れることが定番になっている。

以前から僕は、ヤンキースタジアムでこの曲を聴いてみたいと思っていたので、聴いた時にはなんともいえない感激な気持ちになった。

プレイボールが遅れたおかげで、試合終了も少し遅い時間になったが、最後にこの曲が聴けて本当に良かったと思った。

というわけで、MLBを生で観戦できた興奮を抑えつつ、ホテルまで帰ることにした。

しかし、その帰り道がまた一苦労だった。


試合後、地下鉄が思わぬことに


試合が終了したのは、午後10時。

19時30分に試合が始まってこの時間に終わったのだから、野球の試合としてはかなり早いテンポで試合は進行していたのだ。


周辺が暗いので、一刻も早くホテルに帰ろうと地下鉄駅に足を急ぐ。


そして無事に地下鉄に乗車。

だが乗車した駅から2つ目の駅に差し掛かった時、突然乗客がみんな降りてしまった。なんの事かわからず困惑していた時、ホームの係員が大声で叫んでいる。


「この電車はここで終点だ!先に行きたいなら地上に出てバスに乗ってくれ!」


どういう事がわからず、見知らぬ駅で下車。そして駅にあったnotice(通知)の紙を見た時、全てを理解した。


実はこの路線は夜は工事中となり、工事中のルートで代行バスを運行しているということがわかった。


とりあえず帰らなくてはいけないので、僕は慌てて改札を出て地上に向かった。途中には何人も係員が立って誘導してたので、バス停まで迷うことはなかったのが幸いである。

地上に出ると街は暗く、街灯もろくについておらずなんだか怖い雰囲気だった。
とは言え、バスに乗らないと帰れないのでバスに乗る。

このバスは、②、③の地下鉄のルートに合わせて運行するようで、直接ホテルの近くには止まらない。

なので、バスの終点で降りて地下鉄に乗って、一駅先の駅に逆戻りするというとても面倒くさい方法で帰らなければならないのだ。

不満を感じながらも、バスは出発。真夜中という事で辺りは暗くてどの道を走っているのかが全くわからない。かなり治安の悪い場所を走っているような気がしていたので、かなり緊張感を持って乗車していた。

途中、ガラの悪そうなおっさんが乗車してきたので、車内には多少の緊迫感が漂う。


やがて、バスはアッパーウェスト地区に入っていき、ナイトクラブの光が増えてそれまでの緊張感からリラックスモードになってきた。

そしてバスは終点に到着。ここは96stのバス停なので、ホテルに帰るには地下鉄の1号線に乗って一駅先の103stまで行かなくてはならない。

途中で103stの駅を通りすぎたことを知っていた僕は、

「ここで降ろしてくれてもいいのに!」

と心の中で不満たらたらだった。


まあ何はともあれ、無事にヤンキースタジアムでのゲームを楽しむ事ができた。

ちなみに、田中将大投手は僕が行った試合の翌々日に先発登板していた。

デーゲームながら、行けば良かったなーとちょっと後悔したヤンキースタジアムでの野球観戦だった。




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