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タイミング

何事にもタイミングと言うのがある。
わたしは、毎週競馬とやっていて痛いほどよく思い知らされている。
例えば、ペルシアンナイト。
G1になるとひょっこり現れる馬と思っていたら
忘れた頃にG2やG3にも出てくる。買い時が本当にわからない。

わたしと1番タイミングが合わない馬は、ダイアトニック。
彼との出会いは、2019年のマイルチャンピオンS。
単勝で買っていたが結果10着。
それからずっと切っては勝ち、買っては負けの繰り返し。
わたしの買い方が下手なのも問題なんだが…
先日の阪急杯もわたしの本命トゥラヴェスーラだった。
単勝1万入れていたのですが本命は2着、1着は、ダイアトニック。
ほんと彼とはタイミングが合わない。

そのむかし、バイト先の先輩にブルースリーに似ている先輩がいた。
その先輩と休憩中に話していると好きなバンドが一緒なことがわかった。
それから新しいアルバムが出る度に盛り上がっていた。
ある日、先輩から休憩中に言われた。

「今度来日するから一緒にライブ観に行かない?」

わたしは、即答でOKした。
好きなバンドを見れる気持ちでめちゃめちゃ浮かれていたが
乙女の勘で先輩から泊まりの提案も却下し、
新幹線で行き、ライブを見て、深夜バスに乗り帰ると言うことになった。

当日、わたしの好きな崎陽軒のシウマイ弁当を買い、新幹線に乗った。
新幹線も出発し、浮かれながらシウマイ弁当を食べていた。
シウマイ弁当は、食べる順番が難しい。
とりあえず考えながらシウマイの上にからしを乗せていると先輩が言った。

「俺、まるちぃこと好きなんだよ。付き合ってもらえない?」

からしをシウマイに乗せている時に告白されたのは、わたしが世界初だろう。
とってもバカっぽい光景である。
とりあえず聞き間違いかもしれないので無視して醤油をかけようとした。

「ねえ、俺まるちぃのことが好きなんだよ。付き合おうよ。」

おい、こら。わたしが今から弁当を食べようとしてるのが見えないのか。
タマゴサンド片手に告白してんじゃねえよ。
違う、違う。問題はそこじゃない。
集合して1時間くらいでクライマックスを持ってくる神経が信じられない。
わたしは、醤油をかけながら言った。

「すいません。無理です。」

今なら「考えておきますね」とか気の利いた返事ができるのだが
弁当の恨みなのか即答してしまった。そこから無言の4時間30分。
こうなることはわかってたんじゃないのか。
うまくいくことしか考えてなかったのか。
かなり気まずい…これからライブなのに…
新幹線から降りても「そこ右ね」とか「タクシー乗ろう」とか
事務的な会話しかしなかった。

ライブが始まった。
初めて見る憧れるバンドにわたしは、1人はしゃいだ。
ボーカル、ドラム、ベース、みんなかっこいい。
わたしの好きな曲がはじまり、乗っていると先輩が何か言って来た。

「なんですか?」

大音量で聞こえない。わたしも大きい声でもう一回。

「なんですか?」

先輩が耳もとによって話してきた。

「今日の夜ごはん何食べる?」

それは今じゃなきゃダメなのか?
今話さないとダメなのか?
本当にタイミングが悪い。
それ以降、先輩と話をすることはなかった。

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