雑生
誰かに会って、何かを話して、一緒に歩いて。
そうしている瞬間は疑いようもなく幸せで、決して偽りであるはずがないのだけれど
帰った家の中では訳もなく寂しくて苦しくて
このまま消えてしまえれば貴方はどんな顔をするだろうか、なんてことを考えてしまう。
どちらの自分も間違いなく本当で、誰も何も悪くない
自分の中にだけそういった感情が渦巻いていることが切なくて、貴方に失礼だなと思ってしまう。
背筋も爪も伸びないで、伸びていく前髪だけが鬱陶しくて
誰もいない部屋の中でさえ私は私を演じているみたいで
きっとこの本当の苦しみがなかったことになるまで、私は私を騙し続けていつかは楽になっていくのだろう
どんな人間もわかった気になっているだけで、私だけが私の歴史を知っているのだから、この苦しみのすべてに価値をつけるのはただ一人しかいないと、そう思う
私が消えたときの貴方の顔が見たいのだけれど、いなくなってしまえばその顔をじっと拝むことすらできなくなってしまうから、今でも私は貴方と生きているのよ
きっとそんなこと露も知らないでしょうけど
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