足と雫 '2
初夏
消えてしまいたい夜が続く。妙に息苦しいのは初夏のせいだろうか。どこかへ行きたいわけでもない。話がしたいわけでもない。救いを待っているわけでもない。
もう本当、ただ自分のためだけに消えてしまいたい、こんな夜は。積み重ねた小さな幸せが突然リセットされて、大きな悲しみだけはゆっくりと積もっていく。それは月日のように、意味もなく残酷にも続いていく。いつか幸せも悲しみもすべてが元通りになるその瞬間を待って、あと何回朝に悲しくなればいいのだろう。
五月病だって言ったじゃないか。いつまで苦しくなってるんだよ。
2024.06.10
連絡
先ほどの暗い話題に通ずる話、申し訳ない。
自分は返信が早い。連絡をもらったらすぐに気づいて、引かれない程度の間を開けてなるべく早めに返す。何も強迫観念からそうしているのではなく、自分の意志で進んでそうしているのだ。会話はテンポがよい方が良い。困りごとの要件であればすぐに解決できるだろう。
最近それができなくなった。言葉が出てこなくなって、返せなくなった。それだけじゃない。声としての言葉もまた同じで、生きた会話がしたいのに思うようにできない。それが無性に悲しくて、言葉を遠ざけてまた悲しくなった。なんだろうか、これさえ上手く表現できないのだけれど、今の自分自身の感情ではない、借り物でどこか気味の悪いフォーマットに沿って言葉を紡ぐしかない。その悲しみにもう一度言葉を折られる。
はやく自分の言葉で話したい。
2024.06.13
揺らぎ
誰にも覚えられたくない。覚えられてしまったなら、どうか忘れてほしい。忘れられてしまったなら、どうか思い出してほしい。
言葉を。
手繰り寄せても出どころが見つからないほどに、どうか覚えていてほしい。
2024.06.19
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