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「前売券」ってなんですか?

ついに10/15からデューン 砂の惑星が公開されるので、これは観に行かなくては!と思っていた。

上映館を確認、よし、前売券を買おう。と思った。しかし、どこで? チケットぴあってまだあったっけ? オンライン購入の仕方もわからないので、先日、上映館の一つに行ってきた。

久しぶりに来る映画館は、灯りの感じも既に近未来な感じ。チケットブースが無くなってタッチパネル式の券売機になっているのは知っていたが、前売券を買ってまで映画を観ようとしているのは久しぶりのことで、買い方がわからない。

困っていたら、今風の黒縁眼鏡の学生バイトくんが「何かお困りですか?」と爽やかな笑顔で声を掛けてくれた。

「ありがとう。あのね、15日封切りのデューンのチケットを買いたいのだけれど。」

「ムビチケですか?」

「えーっと、前売券。」

「え?マエウリケンってなんですか?」

「え?」と私。

「えっ?」と彼。緊張と動揺がつたわってくる。本当に困った様子で、不安そうにこちらを見ている。ごめんね、貴方を困らせてしまって。そんなつもりはなかったの。ただ、ただ貴方ではない人と来週末にデューンを観たくてここに来ただけなの。そんな顔しないで。

「えーっと。」私は深呼吸して「この券売機で買えないチケットを今買いたいのだけど。」

「それでしたら彼方のコーナーで訊いてみてください。」と彼はポップコーン売場とは別の方向の奥まった所にあるパンフレット売場を掌で示す。彼に少し笑顔が戻った。

「ありがと♪」とその場を離れる。これ以上優しい彼を困らせないように。

パンフレット売場の奥のレジで何かの映画の特典グッズの計数をしている女性に恐る恐る声を掛ける。

「15日封切りのデューンの前売券を買いたいんですけど。」

「何枚ですか?」

つ、通じた!前売券。

ということは、私が買いに来たのは前売券ということで良かったのね、とちょっとホッとする。

「こちら、ムビチケになりまぁす。ご利用方法中に書いてあります。予約の上、上映館までお越しください。」の言葉と共にティモシー・シャラメのプロマイド的カードを渡される。ティモシーの顔が憂いに満ちているのはデューンの行末を案じてだろうか。私はデジタルの波に取り残されている自分を憂いながら映画館、ではない、シネマコンプレックスを後にした。




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