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【17日目】人生初のカタンに挑戦。ボードゲームに資本主義の本質を見た

「カタン」というボードゲームをご存知だろうか。

1995年にドイツで考案され、発売されたその年にドイツボードゲーム大賞を受賞した、ボードゲーム界の革命児だ。

その面白さから世界中で大人気で、発売からわずか25年で3000万個以上も売れているらしい。

そんな「カタン」を今日友人のオンライン誕生会で、初めてプレイで激ハマりして感じた。

これ、めっちゃ経済の勉強になるんじゃね?

今回はその理由を書いていこうと思う。

カタンというゲーム(ご存知の方は飛ばしてください)

カタンは3〜4人で遊ぶゲームで、「カタン島」という島を各プレーヤーが開拓していく。

カタン島は道・家・都市を作ることで開拓することができ、それぞれに得点が割り振られている。

そしてその得点の合計が10点を最初に超えた人がゴールになる。

つまり、大雑把にいうと「最初に10点分、家を建てた人が勝ち」のゲームである。

カタン島↓(公式ホームページより)

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では、どのように家を建てるのか。

カタン島をご覧いただきたい。

区画は六角形で区切られていて、それぞれに特徴的な色の絵柄が書いてあり、真ん中には数字がある。

それぞれの六角形の頂点に「家」を、辺の部分に「道」のコマを置くことができる。(人生ゲームの車や家族を想像していただきたい。あんな感じのプラスチックのコマである)

絵柄は資材(木・土・麦・羊・鉄)を表している。

ゲームは家2つと道2本を各プレーヤーが任意にカタン島に建設した状態で開始し、毎ターンの最初にサイコロが二つ振られる

出たサイコロの目の和(2〜12)のマスに自分の家が面していれば、そのマスの資材(木・土・麦・羊・鉄)を一つゲットできる。難しいので図を用いて説明すると、

スクリーンショット 2020-06-06 19.03.34

例えばこのように緑プレーヤーが、6・9・12の間の頂点に家を建てていて、サイコロで2+4=6が出れば、緑プレーヤーは「鉄」の資材をゲットできる。

といった具合に手持ちの資材を増やし、その資材を消費する(例えば道を一つ作るには、「土1つと木1つ」の資材を消費する)ことで建設を進めることができる。

これを積み重ねて10点を目指すのだ。

カタンで大切なルール

カタンを面白くしているルールは「建設・貿易・港」であろう。

カタンを知らない方は急に新しい単語が出てきて驚かせてしまったかもしれないが、カタンには「交換」のルールがある。

自分の資材と相手の資材を双方の合意のもと言い値で物々交換できる「貿易」、複数の不要な資材と山札にある必要な資材を交換できる「銀行」のルールの2つだ。「港」のルールは、島上の特定の位置に家を建てると銀行での交換に必要な資材の数が減るというものだ。

これらのルールによりカタンは面白くなる。

建設は、自分にとって最も価値が高いと思われる位置に家を建てる面白さがある。これはもらえる資材が「家の有無×サイコロの目の確率」で決まる事による。自分が「木」の場所に家を建てなければ「交換」しない限り「木」は手に入らないが、「6の木」に家が建っていれば5/36の高確率で「木」を手に入れられるのだ。

貿易の面白さはなんといっても会話にある。的プレーヤーと言葉で交渉して、「これとこれでどうだ?」「それじゃ足りない。それも付けろ」「あとで助けるから交換してくれ」なんて会話をしながら貿易をするのだ。その緊張感たるや。

港は欲しい資材を手に入れるためのとっておきの武器である。例えば「羊」ばっかりのところに家を建ててしまって、サイコロを振るたびに羊が手に入ってしまうという状況になれば、港がうまく使える。羊の港に家を立てれば、銀行で「羊2つとどれでも欲しいもの1つが交換できるようになる」のだ。こうすれば、サイコロの運を待つ必要がなくなる。

資本主義経済

ここで少しだけ経済の話をしたい。なぜならタイトルにもあるように、カタンと経済の関連性について語りたいからである。

資本主義=営利目的の個人的所有者によって商業や産業が制御されている、経済的・政治的システム(Wikipedia)

僕は資本主義経済のなかで大切な考え方が3つあると思う。

①コストとリターン
経済活動を行うときは必ずコストとリターンを考えなくてはならない。

「うまい棒10円」が最も簡単な例だ。自分が10円というコストを投資して、うまい棒1本というリターンが帰ってくる。

これは全ての経済活動で同じで、「時給1000円」は1時間のコストで1000円のリターン、「三ツ星フレンチ3万円」は3万円のコストで食事やサービスというリターン。

何をするにもついてくる原則で、最小限のコストでリターンを最大化する方法を人々は常に考えている。

②市場経済
ものの価格のは需要や供給から、いい感じの価格が決まるという話である。

例えばペン1本100円という値段は作り手は「100円くらいなら原価を回収できるし、自分も暮らせるからいいや」、買い手は「そのくらいの値段なら買うか」という気持ちがぶつかり合って落ち着いた額である。

1本1万円なら誰も買わないし、10円なら作り手が生きていけない、という感じに。

③自社の強み
経済では大切なのが自分たちの独自性や強みだ。

自分の強みはそのまま利益に直結するからだ。

ドローンを最初に作った人は、はじめ、世界で自分しか持っていない技術を持っているし、小さな会社が後からできても、パイオニアはノウハウも信用も持っているという強みがある。

起業家はそのように、誰も手を付けていない市場を狙って起業し、独自性を発揮していく。

カタンと資本主義経済

さて、今の話はどこかで聞いたことがある話ではなかっただろうか。

そう、「カタン」である。

①コスト&リターンと「建設」
カタンの建設においては、貴重な「資材」を無駄にしないように、慎重に建設を行う必要がある。

考慮すべきはリターンである。

そこに家を建てるとどの資材がどんな確率で手に入るのか。

カタンでは自分の戦略を立て、必要な資材は何かを考え、それに合った場所に家を建てる必要があるのだ。

②市場経済と「貿易」

カタンには貿易があると述べた。これはドンピシャで市場経済にマッチしている。

需要が高まっている資材を自分が簡単に手に入れられるのであれば、「誰か、頼むから土をゆずってくれ」「いいよ。その代わり木と羊と交換で」というように強気の価格を提示することもできる。

需要を見極めて、賢く立ち回るのがカギである。

ここで忘れてはいけないのが、貿易は常にwin-winをもたらすということだ。なぜならお互いに不要なものを渡して欲しいものを得るからだ。

つまり、相手を満たせば満たすほど、自分を満たすことができるのだ。

win-winを目指し、積極的に取引をすることが勝利への近道である。

③強みと「銀行」
これは先ほどの貿易とも繋がってくるし、カタンの銀行にも大きく関係する。

ある資材、例えば羊を自分の強みとすれば(他のプレーヤーは羊不足で自分は羊をたくさんゲットできるような配置にすれば)、羊を欲するプレーヤーは必然的に自分と取引することになる。つまり、自分が欲しいものは羊を渡せば手に入るのだ。

そして、羊の港を開くことができれば、銀行との取引という選択が大きな意味を持つ。こちらは他のプレーヤーに羊を渡すことなく、簡単に欲しい資材が手に入るのだ。したがって②には反するが、相手に利することなく、自分の富が増えていく。

経済の考え方を用いて導いた戦略

冒頭にも書いた通り、まだ私はカタンを始めたばかりだ。4試合しか経験がない。

しかしその戦績は「ビリ・2位・1位・1位」である。

これは自分なりの勝ち方を経済にヒントを得て見つけたからである。

その方法を少し書くと、

まず、最初は自分の強みを作ることを意識して建設する。例えば盤面を見て木が足りなくなりそうであれば、木の場所に多くの家を立てれば「木を強みとした立ち回り」が可能になり、リターンは増大していく。

序盤〜中盤はできるだけ多くの貿易を行う。この時間帯は自分の資材も十分ではないため、必要なものは他人からもらうのが最も楽だからだ。これにより、どんどん建設を進めていく。

中盤で港を開き、終盤はとにかく銀行を使う。中盤までに安定して「強みとなる資材」が手に入るようになったら、終盤はどんどん銀行で交換して一気に逃げ切りをはかる。

この方法を最初の2試合で思いつき(もっとも、初戦はルールを覚えるだけで精一杯だったが)、後半2試合はカタン歴が長い友人に連勝することができた。

おわりに

このように、カタンと資本主義経済には多くの共通点があった。

それらの特徴が世界を熱狂させているのではないかと私は睨んでいる。

人間は資本主義にフィットするようにできている。

この記事を読んで少しでもカタンに興味を持った方はぜひ一度プレイしてみていただきたい。


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