レトルト三角関係 (バレエショートショート)
藍は今創作バレエのレッスンに出ている。今回の講師は初顔でどことなくもっさりした男性だ。時間もいつもより20分も早く始まった。生徒はまだ6人しか来ていない。講師は藍たちを集めて指示する。
バレエ劇には、なぜか三角関係が多い。白鳥の湖やジゼル、バヤデール。今回は趣向を変えて男1人に女2人で争う即興バレエにしよう。かの有名な白鳥の湖を題材にする。白鳥のオデットと黒鳥のオディール。王子を巡って争う。本来1人のプリマが2役で踊るが今日はバレエで女の戦いをやろう。王子をめぐって白鳥役と黒鳥役をやりなさい。王子役は僕がやる。レトルトのように3分沸騰するような踊りをやるのだ。さあ、そちらからどうぞ。
王子になり切った講師は、にやけた顔でレオタード姿の藍と対面の女の子の間に立つ。藍は腕組みをした。
あなた、バレエダンサーですらないでしょ? 立っているだけでわかるよ。誰なの?
とたんに偽講師は背を丸めて逃げ出した。もちろん受付に連絡して警察を呼んだ。
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たらはかにさまの企画に参加中です。
犯人は単なるバレエオタクでした。
プロのバレエダンサーは、いるだけで華があるよ。気品も。背筋を伸ばして立つことが習慣づいているからね。カッコいいですよ。
ありがとうございます。