BEACONよりCOLD SONG感想とTAB譜について自分用メモ


 十年来のクラシックオタクだった人間が平沢進のファンになり馬骨になって初めての新譜発売である。まずはめでたい。基本贔屓にしている指揮者や奏者でもいなければCDを買うという行動はしないので、在命のアーティストのファンになるとはこういうことかと楽しませてもらった。カートに放り込んだものの決済がギリギリになってしまい、続々と入手報告があがっているTLを横目で見つつ、ポストの前を一日に何度も往復したり、家人に「不在中にヤマトさんが来たら受け取っておいて」と、さもなんでもない感じを装ってお願いするなどの不審な挙動が増えたのも致し方なしである。

焦れつつ期待が否応にも高まる中発売日より3日ほど早く届くBEACONが届いた。わーいわーい。COLD SONG目当てでしたが消えるTOPIAもいいですね、韻の踏み方が図らずしも足を踏み外し沼落ちしたENOLAと重なって大変美味しい。サビは流麗且つたったー今、の詰まった三連符が好きです。

期待していたCOLD SONGはラスボスに心臓を握られてそのまま握り潰そうかどうしようか弄ばれているような、馬骨なので臓器全部抜けてる筈なんですが、そんな印象です。なんかもう俎板の上の鯉というか馬肉というか、無抵抗のままそのままやっちゃってくださいという。

ところでCOLD SONGの原曲といいますか、作曲者のヘンリー・パーセルは没年が1695年のため、著作権はフリーとなっています。つまりはどういうことかといいますと、ネットの海をちょっと泳げば普通に楽譜が転がっているという事です。では早速なのでちょっとばかりスコアを見てみましょう。

まずIMSLPと呼ばれる著作権フリーとなった作曲家のまとめページを開きます。

こちらから元となったオペラ…えーっとえーっと「ディドーとアエネイス」だっけ「妖精の女王」だっけ、ああ「アーサー王」の方だった…パーセルのオペラとしては知名度低くない?というリアルにボケを挟みつつPDFを開き、根気よく該当のページを探します。オペラなので2時間弱ある筈…うう、せめて1幕毎に分かれてるスキャン譜を選ぼう。

ちなみに原曲はテナーもしくはバリトンで歌われています。なんか慣例的にカウンターテナーが歌ってるみたいですね。そこのところ調べたら割と近年の流行りみたいで最近のことらしいんですがそれはさておき。


下記譜面の第3幕の2頁目からCOLD GENIUSが該当のアリアですね。ちゃんとリンク貼れてるかな…ダウンロードに少々時間がかかるのですが仕様ですのでそこはご容赦。

ダウンロードすればCOLD SONG該当の伴奏譜が手に入りました。ちなみに歌詞付きであります。追っていくと分かるのですが、twhzで明言している通り逐語訳ではありません。かといって全く元の歌詞を無視している訳でもなさそうで、


火を見よ、の「を」=「old」

徒労、の「ろう」=「cold」

呼ぶは、の「ぶ」=「breath」

鍵を取れ、の「とれ」=「to Death」
(訂正)鍵を取れ、の「ぎ」と「とれ」=「g(ain)」と「to Death」

など、母音または子音を被せてある…という、多分P-MODELの「BIKE」に近い訳し方(と言えるかどうか分からないのですが)をしてるんでないかな、と思います。推測の域を出ませんが。とはいえこれだけ重なると偶然とは思えないので恣意的に重ねてあるんじゃないかと思います。あ、ラストの石英の「せきえい」と「let me let me」もそうと言えばそうかな。ヒラサワ楽曲に付き物の【跳躍イ音】もここでは鳴りを潜めているあたり、真摯に一対一対応してる気が…(まあこんだけハイトーンが連続すると跳躍イ音も意味ないのかもしれない)

私、歌詞の意味の解釈とかあんまりしないタイプなんですが、平沢さんの「音としての歌詞に対するこだわり」がものすごく好きだったりします。


TAB譜について(編集中)

確認してみたいのですが、これ書いている我が家が絶賛夏休み中でして、まとまった時間が取れそうにありません。ひとまず宿題とさせてください。

ところで過去に曲制作期間のtwhzで平沢さん自らTAB譜(ギター用の譜面で6本線がある事で運指を容易に記録することができる)を公開されていたこと、記憶に新しいと思いますが、TAB譜の軌跡をちょっとだけ復習します。ギターがある人はチューニングはOK?無い人はエアギターでいきましょう。


まずは、消えるTOPIA。曲開始から1:01あたりAメロ?の裏で鳴っている。

これはじめて見た時も笑っちゃったんだけど5音中3音が0ポジションという、ああステルス節だぁというやり口で大変潔い。ギターをはじめて3日ぐらいのビギナーにもやさしい譜面ですね。

続いてTimelineの終わり。これはわかりやすく2:24あたり。

わあいサビだ!


次に燃える花の隊列1:32または2:43あたり。


16分音符の頭が開放弦(0の記号のところ: 0フレットという表記でいいんでしょうか)で比較響くのと、その次の音はおそらくハンマリングなので音符が聞き取りにくいな…ただでさえ連符は最初の頭拍以外の音は聞き取りづらいのに。でもちょっとTAB譜読むのも慣れてきたぞ。

最後に、COLD SONGの TAB譜。音源では2:11あたり。

改めて音源を聴きながらTAB譜を見ると開放弦(ネックを押さえないで弾く、TAB譜上では0の記号)多いな…普通のギタリストってこんな開放弦つかうのかな、という印象と、ひっかけでオープンチューニング(弦を上げたり下げたりする変則チューニング)があるんじゃないかとフォロワーさんが言ってたので疑ってかかっておりましたが杞憂だったようでした。まあ上に五線譜あるしな…はなっから疑ってごめんねステルス。意外にも初心者フレンドリーだったのねステルス。それにしても7→3→12…移弦して12→8→12じゃダメなんですかダメなんですねはいごめんなさい。フレットがあるとポジション乱降下しても急上昇しても音程ちゃんと当たるからいいですね(ハイポジションを恐れるビオラ奏者)というかここがやっぱりステルスのいう「違う土嚢」ってやつなんでしょうか。


ライブで聴くの楽しみだなぁ。

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