クリエイターズマッチングプロジェクト:コトバヲトリモドセ(ボツ案)
前回同様ボツです。
「ねえねえこれみて!」
「ああそこ足元!」
「うぉっとっと、みてみて」
「今度は何拾ってきたんだよ…」
「これこれ!『慣用句辞典』!」
「!?すげえ!!古代の言葉勉強出来るじゃん!」
「でしょでしょ!ねえ一緒に見ようよ!なになに『指を咥える』…って」
「…意味の部分黒塗りされてんじゃん、しかも全部」
「…もうなんでー!?単語の意味はわかるのにいい!!」
「ま、まあそういう言い回しがあったっていう勉強は出来るじゃん。『指を咥える』」
「そうだけど…。どういう意味かな?お腹減ってて指食べたのかな?」
「かな……多分。『自腹を切る』」
「切腹って言葉知ってる!それのことじゃない?」
「だな。『首を突っ込む』…お前がよくやってる奴だ」
「確かにガラクタに頭よく突っ込んでるけど…『肩で息をする』」
「どういう事?昔の人は肩で呼吸器官があったのかな?」
「そういう人種がいたんだな」
「昔の人って凄いなあ。これは?『臍を曲げる』」
「ヘソって曲がるか?」
「肩で息をするくらいだもん、きっとすっごくデベソで、曲げれたんだよ」
「そんな臍じゃなくてよかった。絶対邪魔。んー『爪に火を灯す』…?」
「状況が想像出来ない…」
「火つかないだろ…」
「他に火をつけるものがない無いとか…すっごく貧乏とか!」
「んなアホな。『踵を返す』…キビスってカカトの事か?」
「たぶん。人のカカト借りてたのかな?」
「カカトが借りれる時代があったんだな」
「借りてどうするんだろう…。『色目を使う』色目って何?カラーコンタクトってやつ?」
「あれだよ、目が青い人とかそういう奴」
「いろんな人種がいたって言うもんねえ。いいなあ!人がたくさんいるのってどんな感じかな!」
「肩で息してデベソで爪燃えてる奴たくさん居てもな。にしてもこれ、最後のページまで全部説明の黒塗りだ」
「だねー。なあんだ、せっかくお勉強出来ると思ったのに」
「こうやって想像するのも楽しいさ。ありがとう、しばらく退屈せずに済む」
「えへへ、褒められてしまった!…これは?」
「『言葉を取り戻す』?」
「……どゆこと?言葉を奪われちゃったのかな」
「んな馬鹿な。奪えるようなもんじゃないだろ、言葉は」
「そうなの?わるーい人が、『ヒヒッ、お前たちの言葉を奪ってこの世界を支配してやる』的な」
「ないない」
「そっか。うーん、古代の表現は難しいな~」
「一旦止めにして食事の準備としよう」
「あ!うん!指を咥えて待ってるね!」
「指食うな」
――――
言葉を取り戻せなかった世界の話です。
ト書きは普段書かないのと、1000文字以内という縛りの上で書きましたが、軽い言葉遊び感があって個人的には好きでした。
書くにあたって慣用句をたくさん調べましたが、日本語って面白いなと思いました。
供養のため。
:辛党がお酒好きなら甘党はジュース好きなんやろなぁって。
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