#04【読書記録】水を縫う/寺地はるな
読んだよ〜!
ネタバレに注意してお進みください!
🌷読み始めたきっかけ
なんでもいいからなにか本が読みたい!と思って選びました。今年は読書する年にしようと思って。
誕生日の日に本屋さんに行き、選んだのは2冊。
読みやすいので文庫本にしよう。あと、いきなり長い話から挑戦すると気持ちが続かなくなりそうだから、薄めの本、300ページいかないくらい。
と自分でルールを決めて、大量に並んだ文庫本の中から、表紙のデザインや裏表紙の紹介文を見ながら選んだ1冊です。
(その時に選んだもう一冊もnoteを始める前に読み切ったので、それもそのうち記録を書こうかな〜✍️)
作者の方の名前は図書館で見覚えがありました。
でも作品を読むのは今回が初めてなので、どんな作品を書かれているのかは知りませんでした。
でもなんとなく、雰囲気のあるタイトルをつける方だったような気がするな〜、くらいぼんやり。
🌷あらすじ
🌷裾上げをする祖母と、刺繍をする孫の構図
が、すごくいい!
主人公の清澄(きよすみ)は手芸が好きで、放課後におばあちゃんの部屋で刺繍をするシーンがあります。
もうこれは私の好みだと思うので、どういう理由でそれがいいと感じるのか説明するのは難しい。
先日亡くなった私の祖母も裁縫が得意な人で、母のあれこれを縫ってれたとか、部屋にはたくさん洋服のデザイン画があるとかを母からきいたことがあるので、自分の祖母と重ねている部分があるのかな?
と思ったけど、私は祖母の部屋で一緒に裁縫をしたことはないし、私が祖母に会う時はたいてい祖母は台所にいたので、やっぱり違う。
ただ、自分の好みでこのシーンがすき!
(語彙力のかけらも感じられない!)
🌷人それぞれ、いろいろな窮屈がある
清澄は「男なのに刺繍なんて」と言われる。
姉の水青(みお)は、フリルとかレースとか、とにかくかわいいものが苦手。
手先が器用でない母さつ子は、「なんでも手間をかけることが愛情」とされることに嫌気がさしていて、おばあちゃんは「女の子だから」「もう若くないのに」という抑圧が当たり前の時代を生きてきた。
家族それぞれに好きや苦手があるけど、なんとなくそれが「普通と違う」とされていて、それに納得がいかない、窮屈な思いをしています。
各章がそれぞれの視点で描かれていて、読み進めるたびに、ちょっとずつほつれた糸が解けるように、ほんとうにちょっとずつそれぞれがそんな窮屈から脱していく。そんな気持ちのよさがある物語です。
🌷家族じゃない家族、黒田
冒頭に黒田という男が登場します。
最初は怪しい男だと思いました。(なぜ)
彼はさつ子の別れた夫、全(ぜん)の仕事仲間で、彼の代わりに毎月清澄の家にやってきて、養育費を渡してくれます。
最初はそれだけでした。
でも話を読み進めると、唯一家族以外の視点で描かれた章があります。黒田視点の章です。
ぼんやりしていた黒田の人物像がだんだんとはっきりして、全への想いや、清澄への想い、彼の父性のようなものに触れ、最初は怪しい男だったのに、どんどんと黒田に愛着が湧いてきます。
そんな黒田が最後に清澄にとってキーとなる言葉を残すシーンがあります。
それが清澄と水青の名前の由来でもあり、最後の清澄の章につながり、この物語のタイトル「水を縫う」につながります。なるほど〜、となりました。
水にまつわる名前、すごくいいですね。
(水青でみおと読むのとかすごくかわいい)
🌷水青のウェディングドレス
家族のあれこれ、登場人物のあれこれがありますが、物語の本筋は「お姉ちゃんのウェディングドレスを手作りする」ということ。
水青の要望と、清澄がいいと思うデザインのすり合わせがなかなかうまくいかず、ドレス作りが停滞するところもありますが、物語終盤(例の黒田の章)でドレスがどんどん形になっていく様はとても爽快です。
ドレスにするための生地がいろいろと登場しますが、どれも細やかな表現で描かれていて、文章だけでも肌触りの良さを感じ取れます。
それにしても、いくら刺繍好きだからといって、お姉ちゃんのウェディングを縫うたろかって言ってくれる弟、すごいですよね。
そんな弟ほしいな〜。
🌷おわり
久しぶりに物語性のある本を読み切れました。
話がどんなに面白くても、以前より集中力が切れやすくなって、なかなか最後まで読み切れずにいたので、読み切ったことにまずは達成感があります。
読んだことがない作家さんの作品でしたが、すっと入ってくるような柔らかい文章で読みやすく、終盤なんて「早く続きを読みたい」とさえ感じました。
帯に載ってた寺地はるなさんの既刊「大人は泣かないと思っていた」も気になります。いつか読みたいな〜。
次の読書記録は図書館で借りていて読みかけのものが読み切れたらにしようと思います。
それでは、またね〜👋
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