天井

階段を降りて透明な扉をひらく。
背負ったギターが引っかかって少し背中を丸める。ポンプをワンプッシュして消毒するこの作業にも慣れてしまって、もう無いところの時は少しそわそわしてしまう。

大体2番か3番で着く。1番でもドベでもない。
おはよ!っていう。

預けてあるロッカーからアンプを取り出して、米俵くらいあるそれをせっせと運ぶ。


責められた時に上手く受け身が取れない。
相手を掴むか、後頭部をガッツリ打ち付ける。
そのどちらも嫌いな自分でウンザリする。早く上手に受け身が取れるようになりたい。

頭の中ではぐるぐるとこんなことを考えている間に足元に機材が揃って、配線が整う。
ギターをチューニングして、左手でミュートしながらチャカチャカカッティングする。
音が出ることを確認してから、コードを押さえて右手を振り下ろす。

脳みそが揺れる感覚がして、遅れて音が聴こえてくる。
ピリピリとする。小さな丸い黒で形成されていた自分の周りの世界が広がったきもち。

音を修正しても全員で合わせたらまた違った形でパズルになる。上手くハマるように音を変えていく。自分だけになった時も気持ちいいように、何曲も何曲も時間がかかる。

目の下は擦れて痛い。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?