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1.5(イッテンゴ)
2019年6月1日 23:34
水際に佇んで水面のさざ波を見渡す。 静かな宵の川縁だった。 暗がりのあちこちで螢が瞬く中、ふと隣を見るといつの間にか女が立っていた。 長い黒髪に白いワンピース。 あまりの気配の薄さに、幽霊だろうかと思っていると、女はこちらを見て、にっこりと笑った。「あなたも溶かしに?」「溶かす?」 女は水面を見やり、指差す。「水は様々なものを溶かし込む… 水際に幽霊がつきものなのはその所為だとか