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1.5(イッテンゴ)
2018年11月3日 22:49
「今作は実体験を基にした物語と聞きました」 問われたサングラスの男は、手元の絵本を撫でた。「若い頃、山が好きでね」 ある日、濃霧で道を見失い途方に暮れていると、霧の向こうに人影が見えた。「頼む、助けてくれ」 影は無言で男の顔を指差すと、踵を返し歩き始めた。 気づけば見知った登山道だった。 安堵し影を振り返ると、霧の中から両手がぬっと突き出され男の顔を捕まえた。 その親指が両の目を拭