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フローリストはなぜ装花を正面から確認するのか?

ブライダルでは
メインテーブル装花など
あらかじめ作っておけない装花を
会場で作成・セッティングをし
仕上げをする場合があります。

作業が終わり
最終確認するときになると
製作者はこぞって装花の正面に立ち
左右のバランスや配色などを確認します。
これって一見普通ですが
私はとても違和感を感じます。

真正面から見る人なんて
ほとんどいないのに
なぜそのアングルでのチェックを
重要視するのでしょうか?

装花を正面から見る人は何人いるのか?

スタンダードな配席図

より多くの席からお二人が見えるように
ブライダルバンケットの多くは
横長な作りになっていますし
そういう会場の方が距離を近く感じられ
人気となりやすいです。

そして配席図からもわかる通り
多くのテーブルレイアウトでは
メインテーブルの正面に
座るゲストは皆無です。

にも関わらず
正面からのチェックを重要視するのは
想定すべき目線を間違えているのでは?
と思います。

正面のチェックがいらない、
という訳ではないです。
それよりも重要な視線がある
という話です。

場所があって装花がある

装花は見られて初めて価値を発揮します。
その為置く場所と目線の角度はとても重要で
同じイメージだったとしても
製作デザインが変わります。

一方向からなのか?四方からなのか?
見下ろすのか?見上げるのか?
正面から見るのか?横から見るのか?
写真を重視する?会場映えを重視する?

圧倒的に斜めから見られることの多い
メインテーブル装花に対し
正面から見てOK、よし完成。というのは
花を飾ってはいますが、
会場を飾ってないと思います。

キレイな花を届ける仕事ではない

会場でセットする大掛かりな装花は
実物のサンプルを
事前にチェックすることが出来ません。
その為フローリストからのアドバイスが
とても重要です。

そのフローリストがゲスト目線を忘れて
花屋目線でのチェックを
日常的に行っていたとしたら
キレイな花は届けれても
結婚式そのものの価値には貢献できません。

ブライダルにおいてフローリストは
新郎新婦の代わりに
会場装花を飾る仕事であって
新郎新婦にキレイな花を届ける仕事ではない

もし時間とスキルがあるならば
お二人がホストとして直接飾り付けするのが
ゲストにとって最善の会場ですが
現実的に難しいから
各分野のプロが代行してるだけです。

つまり、フローリストの仕事は
ゲストに見てもらうための装花を
届けるのが仕事です。

お二人目線でも
フローリスト目線でもなく
ゲストにとってふさわしい会場装花とは?
その目線を忘れてはいけません。

SNSも目線の一つ

SNS全盛の今ですから写真映えは重要です。
ゲストは素敵な装花などを
正面から撮影したくなるのは自然な事。
なので正面のチェックも必要です。
ただし、この場合違う問題があります。
それは「空間を切り取られる」という事。

装花は空間を彩るものですが
撮影することで違うイメージを持ちます。
その理由の一つに構図があります。

最近ではスマホで撮影する人が多いですが
スマホだと必然的に縦画が多くなります。
縦画はイメージや主観を強調しやすいので
切り取られた情報は
実物であっても現実ではなくなります。

会場映えと写真映え
どちらを意識するかで装花は変わります。
つまり画像も目線の一つだと認識し
見られ方が違うと把握する必要があります。

誰がどう見るか?

大事なのは「誰」が「どう見る」か?
ゲストが席から見る装花
スマホの画面越しに見る装花
誰が何処から見るのか?
それがわからないと装花は作れません。

装花は見られてナンボです。
その見てる人に届けるためには
見てる人と同じ目線でないと
チェックは無意味になってしまいます。

ゲスト目線での最終確認を

装花に限らず、会場設営をした際に
最終チェックをすると思いますが
入り口から順番に
チェックすることをお勧めします。
それがゲストの見る順番になりますので。

コース料理のチェックをするとしたら
デザートから食べたりしませんよね?
それと同じです。

裏口から入って確認したり
テーブル席の装花なのに
立ったまま確認などはしても
ゲストには意味のない確認になりますので。

お客様目線。
と、よく言われてきましたが
装花には物理的なお客様目線が
存在することを忘れてはいけません。

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