おかず

「被」の冠が跳ね返ってくる瞬間はダイナミックだ。捕食者が被捕食者になったり、差別者が被差別者になったり。やる側は自分がやられる側に回ることなんて夢にも思ってないから、必然的に「不意打ち」がセットでついてくる。自分がしてきた所業の本質を口半開きで観察するハメになる。

壇蜜先生の米のCMが始まったから、「ああ、壇蜜先生の米のCMだ。」と思いながら見てた。あきたこまちだよな、秋田出身だし。加藤鷹も秋田出身だ、関係ないけど。それにしてもこのCM久しぶりに見たなあなんて思ってたら、いきなり壇蜜先生に言われた。

”あなたはおかず。”

…アナタハオカズ…あなたはおかず!?おれがおかず!?

”わたしはあきたこまち。”

あきたこまち!壇蜜先生があきたこまち!!

なんてこった。おれ、壇蜜先生のおかずか。すげえ。やった。やった?やったなのか、これは。どうなんだ。よくわからん。とにかくハッとしたのは確かだ。なんたって今まではこっちが米だったわけだろう。自分のこと米だなんて思ったことなかったもんな。そうか、米か。

映画を見てたら急に登場人物がこちらに視線を寄越してきたような衝撃を受けたわけだが、それにしてもこれ、米のCMなんだよな。自分が米であったことを突きつけられる米のCMってなんだろう。目的が謎だ。まあ印象に残るって意味ではいいのか。

っていうか、いくらこれをそっちの話だって興奮したとこで「それはそちらの思い違いでして…」って言われんだろうな。エロ潜ませCMはずるい。今回のこれも、ダイナミズムはあるけどそっから先のドラマはないわけで、おいしいダイナミズムだけ拝借した下ネタ(と思わしきもの)だ。気を引く手段としてはそこそこ下品ではある。ただ、壇蜜先生に「おかず」と言われたこのなんとも言えない気持ちに関してはね、なんか、ありがとうございます。

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