反省からの平均という前衛

「危険ドラッグ」発表で「母さん助けて詐欺」がまた注目されてる感じだけど、同じ公募から生まれた面白ネーミングでも、このふたつは選考過程がどうやらずいぶん違うらしい。

「母さん助けて詐欺」は単純に、公募で集まった中から「これは」と思ったものを選んだものだ。最優秀作品賞である。…マジで?…まあ、とにかく向こうさん的にはこれが一番良かった。前衛的だな。

一方の「危険ドラッグ」。「危険ドラッグは102件で5番目だったが、語頭に『危険』を冠した案が260件、語尾に『ドラッグ』を付けた案が5896件あり、それぞれの最多だったため、両方を組み合わせた呼称を選んだ。」(時事通信)らしい。ちなみに単純に一番応募が多かったのは「準麻薬」だったらしいが、「麻薬」「薬物」は法令用語と重なるからダメらしい。先に言え、それ。

言葉自体の新鮮さが魅力的だった「母さん助けて詐欺」に対して、「危険ドラッグ」は妙に普通というか、「この危険なドラッグの危険性が広く認知されるような新しい名前を!」って言われて「じゃあ『危険ドラッグ』で」っていうのが一周回って異様だったっていう感じだ。

その異様さもこの選考方法を見れば仕方ない。みんな出し合った案の中で一番多く出た言葉を組み合わせれば、それはもうザ・平均になるだろう。国語68.4点、数学70.3点みたいな実際にはありえない点数を平然と叩き出す、偏差値びったし50の平均の化け物だ。普通すぎて怖い。そして顔が思いのほかまぬけだった。前回攻めすぎた反省だったのかなあ。でも極端な普通は結局前衛的だ。

さて、そんなこんなで速攻大喜利のネタと化したこの話題。これに乗っかってもなって感じだけど、「かっこ悪い名前にすれば不良が敬遠する」説にのっとった場合、「危険ドラッグ」を簡単にもう少しかっこ悪くする方法を今思いついたので一応書き留めておく。いっそのことひっくり返したらどうだろう。「ドラッグ『危険』」だ。「スナック『あけみ』」みたいな。「ドラッグ『危険』を所持」とかかなりかっこ悪いと思う。どうこれ?

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