そして巨大明朝

「好きな言葉は”情熱”です」でお馴染み、湘南美容外科のCM。ドクターたちがシンプルに好きな言葉を発表してた一期から、炎をまとった二期、そしてシンプルに回帰した真っ白な色調の三期まで確認済みだが、とにかく「好きな言葉の発表」という軸だけはまったくぶれずに来てる。

さて、今回また新しいバージョンに遭遇した。まあ正確には三期の別バージョンって感じだ。白の時代の二作目。ただ、いつものように登場した相川理事長がなんか普通に無料カウンセリングの案内を始めたから驚いた。本来驚くことじゃないんだけど。「0120-449-100(ヨヤク100番)」とかフリーダイヤル読み上げてんだもん。いや、これが普通なんだけどさ。

こうして普通のご案内をする理事長を見てると、あの好きな言葉押しはなんだったんだろうって感じだな。いや、そもそも「好きな言葉を発表する」という行為は一体なんなのか。「情熱」という言葉が好きだということと、情熱的であるということはイコールじゃないし、ましてや「情熱」という言葉が好きだと自分から言ってくる人がほんとに「情熱」という言葉が好きであり、なおかつ情熱的な人物であるという可能性は実のとこ結構低いかもしれない。

「好きな言葉は『情熱』です」から辛うじて読み取れる確からしい情報は「この人は『情熱』という言葉が好きだということを他人にアピールしたいらしい」くらいのもんだ。そいつが面識もない赤の他人だった場合、これはもう情報としての価値は限りなくゼロに近い。力強く言おうが、字を燃やそうが、色調を変えてみようがそれは変わらない。

ただ、最初からこうして普通のご案内をされていたら、このCMに注目することすらなかったろう。そういう意味では少しさみしくもある。再び社名とフリーダイヤルが読み上げられた。もうCMも終わりだ。カットが変わる…あれ、院長?

「好きな言葉は”情熱”です」

ガッツポーズの院長のバックには画面いっぱい、特大フォントの明朝体で「情熱」である。なんだ、まだ好きだったのか。だから知らねえってば。「でかくすれば…!」じゃねえよ。

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