瞬間May J.側人間

松たか子の歌声が聞こえてきて、反射的にテレビの方を振り返るその途中、画面が目に入るより前に、その曲がレリゴーじゃないことだけはわかった。いや、正確にはレリゴーじゃないから驚いて振り向き始めたのかもしれないけど。

思えばここ半年以上、神田沙也加やMay J.がテレビで歌えば歌うほど膨れていく「で、松たか子は?」問題。二人の露出を尻目に高まる「出ない」松たか子の価値、そして負の副産物としての「なぜ出ない?」という感情は形を変えてMay J.への不満として吹き出す。そんな理不尽をおっかぶされてもMay J.は歌うしかない。何を言われようが、これは千載一遇のチャンスだ。

松たか子はいつ歌うのか。それは当然「紅白出るの?」って話につながるわけだが、ぶっちゃけ松たか子は紅白出なくたって困りゃしない。May J.はどう考えたって超出たい。「夢だ」と勝手に断言したっていい。でも松たか子はどっちでもいい。歌手として出たことあるし、っていうか司会もやったことありますよ、19歳の時だったかな、みたいな。

その曲が「赤いスイートピー」であることに気づくと同時に目に飛び込んできた画面には、松田聖子が映っていた。デュエットだ。アスタリフトのCMで聖子ちゃんとデュエットなんだ。

満を持して出てきたら松田聖子とデュエットか。なんだこの優雅さは。で、どうすんだ、紅白は。でんのか?あ、そういえば司会やったことありますよ、19歳の時だったかな。うるせえ!うるせえんだよ!お前May.Jの気持ち考えたことあんのか!それでもねえ、歌うしかないんだよ、こっちは。

…”こっち”?こっちってなんだ。松たか子と松田聖子のデュエットを見てるこの瞬間、一体おれはMay.Jのなんなんだ。ぶっちゃけ別にファンではない。いや、ただ少なくともこの瞬間は味方だ。優雅に羽ばたく松たか子に向かって唾吐く構えだ。とりあえずお前あれだ、パン祭りとプロアクティブ交換しろ、な。

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